労働環境の改善をはじめ、“働き方改革”を推進する企業も増えてきた。社員に「残業させない」方針をとる会社も少なくないと思うが、なかには残業代で月収の不足分を補ってきた人もいるはずだ。ライフステージも後半に差し掛かると、家の購入や子どもの学費など、なにかとお金がかかる。そんななか、残業代を失い現実を突きつけられた中年サラリーマンたちは今……。 東京駅地下にある安居酒屋に、夕方五時半にフラフラと現れたのは、大手情報系企業に勤める丸岡さん(仮名・50代)と、その知人で電子機器製造メーカーに勤務する原田さん(仮名・50代)。 二人は席に着くなり、19時までに注文すれば一杯190円で飲めるという生ビールと290円のポテトフライ、それにだし巻き卵をそれぞれ二つずつ注文し、タバコをふかし始めた。 「早く家に帰ったって家に居場所はねぇし、残業代も無くなっちまったから、こうやって時間潰すしかねぇんだよ」 こう