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ブックマーク / xtech.nikkei.com (46)

  • 名古屋港のランサム被害、約3日で復旧もログまで暗号化され感染経路はいまだ不明

    ランサムウエア攻撃を受けてコンテナ搬出入作業の停止を余儀なくされた名古屋港。ログも全て暗号化され、感染経路をいまだに特定できていないことが分かった。復旧優先で2日後には作業再開に至ったが、証拠保全が全くできていなかった。重要なシステムにもかかわらず、セキュリティー専任者も不在だった。ひとまず収束した格好だが、緊急対応や対策の難しさが改めて浮き彫りとなった。 「プリンターが動き出し、ランサムウエアに感染しているという通告が勝手に印刷されてきたと聞いている。10枚やそこらではない、相当な数だったようだ」――。 2023年7月4日、名古屋港はサイバー攻撃の被害に見舞われた。冒頭の通告文の内容などから、ロシア系とみられる攻撃者集団「LockBit」による犯行と考えられている。標的となったのは港内に5つあるコンテナターミナルを一元的に管理する「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)」。ランサムウ

    名古屋港のランサム被害、約3日で復旧もログまで暗号化され感染経路はいまだ不明
  • 「ロシア産ガスに頼らない暖房」ダイキンが欧州でヒートポンプ拡大

    ダイキン工業は2022年10月20日、ダイキンヨーロッパ(ベルギー・オステンド)のヒートポンプ暖房事業について、2021年度の出荷台数が急激に伸びて前年比約170%になったと明らかにした。ダイキンヨーロッパ全事業の売上高は5688億円で過去最高だった。2022年に入って、ウクライナ危機が生じ、ロシア産ガスの供給が不透明になる中で化石燃料を使わないヒートポンプがさらに注目されているという。 2022年5月に欧州委員会(EC)が発表した政策文書「RePowerEU」では、再生可能エネルギー利用技術の1つであるヒートポンプの導入目標について、今後5年間で累計1000万台を目指すと上方修正された。欧州の住宅用暖房は、ボイラーでガスや石油などの化石燃料を燃やして温水つくり、各部屋に設置したラジエーターに送る「温水式セントラル空調」が多い。これをそのまま置き換えられるヒートポンプ暖房に対して「エンドユ

    「ロシア産ガスに頼らない暖房」ダイキンが欧州でヒートポンプ拡大
  • 米国で近く始まる重力蓄電 500MWhシステムが半年で竣工?

    電力を位置エネルギーとして貯蔵するという点では揚水発電と同じなのが、古くて新しい蓄エネルギー技術「重力蓄電」だ。エネルギー密度は揚水発電と同様に非常に低いが、それ以外の、発電コストの低さや耐久性の高さ、損失の少なさ、そして建設期間の短さなど多くの点で優れた点が多い。提案されている実現手法は実にさまざまで、利用場所も空中、地下、海中と多岐に渡る。既に投資家の支持を得て事業化を進める例も出てきた。 電気エネルギーを位置エネルギーに変換する点で揚水発電と同じだが、立地制約や損失の多さなどの揚水発電の幾つかの課題を軽減した「重力蓄電」システムも続々とベンチャーが登場している。 その先頭を走るのがスイスEnergy Vaultだ(図1)。既に事業化を着々と進めている。同社にはソフトバンクグループなど複数の投資会社が出資しており、2021年9月には米国の株式市場に上場を決め、顧客の1社も公表した注1)

    米国で近く始まる重力蓄電 500MWhシステムが半年で竣工?
    emiladamas
    emiladamas 2021/12/02
    シビュラシステムを思い出したり
  • 大規模接種予約サイトが架空番号でも予約可能に、対象期間外に予約できる不具合も

    防衛省が2021年5月17日に開設した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場向けの予約サイトが、「0000000000」といった架空の接種券番号で予約を受け付けることが分かった。加えて、何度でも予約できる状況になっている。防衛省は日経クロステックの問い合わせに対し「不具合かどうかを含めて状況を確認中」(報道室)としている。 自治体番号は「000000」、接種券番号は「0000000000」、生年月日は年齢が対象外の51歳となる「1970年1月1日」で認証を通過し、予約まで完了した 大規模接種会場向けの予約サイトは、地方自治体が対象者に郵送した接種券に記載された「自治体番号」(6桁)と「接種券番号」(10桁)に加えて、接種を受ける人の生年月日を入力して予約する。現在の接種対象者は65歳以上の高齢者だ。 日経クロステックが実際に予約サイトで確認したところ、2つの番号とも実在しないとみられ

    大規模接種予約サイトが架空番号でも予約可能に、対象期間外に予約できる不具合も
  • 40MW級アンモニア専焼火力発電、三菱パワーが2025年にも

    三菱パワーは2021年3月1日、アンモニア(NH3)を火力発電の燃料として単独で利用するガスタービンシステムの開発を始めたと発表した。システムの規模は40MW(4万kW)級で、火力発電としては中小規模である。アンモニアの使用量では、JERAが年内にも愛知県の大型石炭火力発電所で開始する20%混焼のほうが多いが、アンモニア100%の専焼システムとしては世界最大級だ(関連記事)。 三菱パワーはガスタービンを開発後、燃焼試験などを経て、2025年以降の実用化を目指すという。 NH3は大気中では、例えば4NH3+3O2→2N2+6H2O といった反応で燃焼し、二酸化炭素(CO2)を出さない。摂氏-253度の極低温まで冷やさないと液化しない水素(H2)に対して、NH3は同-33.3度で液化する。たとえ摂氏20度でも約8.5気圧と比較的低圧で液化する。しかも、液化アンモニアは、取り出せるH2量が同じ液

    40MW級アンモニア専焼火力発電、三菱パワーが2025年にも
  • デンソーの20年3月期は利益8割減、新型コロナの“5倍”響いたリコール費用

    デンソーは2020年4月30日、2020年3月期の連結決算を発表した(図1)。売上高は前年度比3.9%減の5兆1535億円、営業利益は同80.7%減の611億円だった。減収減益の要因として、新型コロナウイルス以上に響いたのが、自動車部品のリコール対策費用である。トヨタ自動車は、デンソー製の燃料ポンプに不具合があるとして、これまでに世界で322万台のリコールを発表している。

    デンソーの20年3月期は利益8割減、新型コロナの“5倍”響いたリコール費用
  • 50自治体システム障害はIaaSで使うソフトのバグが原因、復旧メド立たず

    12月4日に発生した東京都中野区など約50の自治体のシステム障害で、12月5日も住民票の発行やホームページの閲覧などができない状態が続いている。原因は各自治体が利用している日電子計算のIaaS「Jip-Base」にシステム障害が発生したため。現状で復旧のメドは立っていない。 4日の時点ではディスク故障が原因とされていたが、詳細が分かってきた。2019年12月4日午前10時56分に同社のシステムにアラートがあがり、システム障害が発生した。調査したところストレージ装置のファームウエアにバグがあり、ディスクの読み書きができなくなったためだった。 各自治体の障害の影響範囲については、「自治体ごとにIaaSを利用しているシステムが異なるため一概には言えない。明確になり次第お知らせしていく」(日電子計算 広報)とした。11月23日にもQTnetのデータセンター障害で福岡県庁のシステムが一時的に利用

    50自治体システム障害はIaaSで使うソフトのバグが原因、復旧メド立たず
  • [独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明

    就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは2019年8月6日、就職活動をしている学生のサイト閲覧履歴などを基に内定辞退の指標を顧客企業に提供していたサービスで、同社と提携するサイトの閲覧履歴も取得していたと日経xTECHの取材に明らかにした。提携サイトから「個人を特定できないcookie(クッキー)情報を取得していた」(社外広報グループ)と説明するが、同社はクッキーを「リクナビID」に突合していた。他社が運営するサイトの閲覧履歴を基にした個⼈情報を第三者提供していたことになる。 内定辞退の可能性を指標データとして顧客企業に提供していたのは「リクナビDMPフォロー」。同社のプライバシーポリシーは、学生であるユーザーがログインしてサービスを利用した場合、「個人を特定したうえで、ユーザーがサービスに登録した個人情報、およびcookie(クッキー)を使用」して、同サービスのほかに同

    [独自記事]リクナビが提携サイトの閲覧履歴も取得していた事実が判明
  • セブン&アイHDが「7iD」1650万人のパスワードを強制リセット、7pay不正利用対策で

    同社はパスワードをリセットした理由を「(7iDを使う7payの不正利用問題で)パスワードリスト攻撃を受けた可能性が高く、リスクを極小化するため」(広報)としている。 パスワード再設定の対象となるサービスはWebサイトやスマートフォンアプリから利用できるEC(電子商取引)サイト「omni7」のほか、セブン−イレブンアプリ、イトーヨーカドーアプリ、西武・そごうアプリ、アカチャンホンポアプリ、ロフトアプリである。 登録できるパスワードの条件はアルファベットの大文字・小文字をそれぞれ1文字以上使い、数字か記号を組み合わせた9文字以上の文字列となる。同条件を満たせばこれまで使っていたパスワードも登録できる。 パスワードリセットに合わせ、セブン−イレブンアプリなどいくつかのアプリは「システムメンテナンス中」として一部機能を停止していた。

    セブン&アイHDが「7iD」1650万人のパスワードを強制リセット、7pay不正利用対策で
  • 東海道新幹線などで券売機使えず、前夜のシステム改修が原因か

    JR東海によると、マルスにつながる「指定席券売機」の一部で、新幹線の自由席特急券のみを往復で購入しようとすると、処理の途中で券売機が停止したという。「指定席券売機で往復分の購入操作をできないように設定を変更し、券売機の稼働を順次再開している」(JR東海)。JR東海はマルスを管理する鉄道情報システムに原因などの調査と分析を依頼している。 15日午後1時ごろ、東京駅にあるJR東海の新幹線券売機は数台が発券できなくなっていた。駅員は券売機を再起動しながら、貼り紙をするなどして、往復自由席を求める客に窓口での購入を促していた。ある駅員は「新幹線の自由席特急券の往復を買うと電源が落ちてしまうことがある。(複数の世代がある券売機のうち)新しいタイプの券売機で不具合が出ているが、問題はシステムのほうにあると聞いている」と説明した。

    東海道新幹線などで券売機使えず、前夜のシステム改修が原因か
  • 沖縄戦を語り継ぐサイトが5年で休止、浮かび上がるデジタルアーカイブ問題 | 日経 xTECH(クロステック)

    沖縄戦について伝えるアーカイブサイトが休止し、再開の見込みが立っていない。沖縄県が7000万円以上の予算をつぎ込み2012年に開設していた。沖縄県は理由としてアクセス数の低下や予算減を挙げる。デジタルデータが増加するなか、資料価値のあるデータを国や自治体がどのように管理していくかという課題を突きつけた。 「おかしいな」。東京大学大学院の渡邉英徳教授がWebサイト「沖縄平和学習デジタルアーカイブ(平和アーカイブ)」の異変に気づいたのは2018年4月ごろのことだ。 同サイトは太平洋戦争末期の沖縄戦の記憶を未来へつなぐためのデジタルコンテンツを掲載しており、沖縄県が運営している。監修を務めた渡邉氏は折に触れてサイトにアクセスしていた。だが4月ごろからリンク切れになり、アクセスできなくなったという。この時点では「一時的に何かが起きたのかもしれないと考えた」(渡邉氏)。 6月23日に再度アクセスした

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  • クレジットカード大国に異変、若者にFinTechの波 | 日経 xTECH(クロステック)

    クレジットカード大国」と呼ばれた米国で異変が起きている。クレジットカードを持てない若者が激増しているのだ。30歳未満の米国人のクレジットカード保有率はわずか33%。既存の金融機関が若者への融資を尻込みした結果だが、FinTechスタートアップには商機ももたらしている。 「米国消費者の金融事情は危機に直面している」。2018年4月上旬に米サンフランシスコで開催されたFinTechのイベント「LendIt Fintech USA 2018」の講演で、オンライン融資仲介を手がける米レンディングクラブ(Lending Club)のスコット・サンボーン(Scott Sanborn)CEO(最高経営責任者)はそう訴えた。サンボーンCEOが紹介した危機を示す指標の1つが、若者のクレジットカード保有率の低さだ。 サンボーンCEOは講演で出典を示さなかったが、米国の金融サービス会社であるバンクレート(Ba

    クレジットカード大国に異変、若者にFinTechの波 | 日経 xTECH(クロステック)
  • 西武ライオンズ、設立1年未満のベンチャー発「電子チケット」採用のワケ

    埼玉西武ライオンズが拠地とする埼玉県所沢市の「メットライフドーム」。スタジアムの入場ゲートには、去年までは見られなかった新しい光景が広がっている。 スマートフォン(スマホ)を片手に持ったファンが画面をゲートの係員に見せると、係員は画面に“ハンコ”のようなものを突く。画面には試合のチケットが表示され、ハンコが突かれると入場済みであることを示す「Lions」マークが出る。要はチケットを“もぎっている”(入場券の半券をもぎ取ること)わけだが、電子チケットで一般的に使われるQRコードのような電気的な読み取り装置は不要で、単に突起のパターンが設けられたハンコを使っているだけだ。

    西武ライオンズ、設立1年未満のベンチャー発「電子チケット」採用のワケ
  • 海賊版サイトブロッキング、被害額の推定根拠に疑義あり

    政府が2018年4月13日に決定したサイトブロッキングの容認を軸とする著作権侵害サイトへの緊急対策案について、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が官邸に報告した海賊版サイトの利用者数や被害額の推計には、明らかにおかしい数字や根拠不明の数字がある。 政府の知的財産戦略部会合・犯罪対策閣僚会議で示された「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)は、サイトブロッキングを正当化する根拠として「月間で数千万人~1億人を超える訪問者が存在し、そのほとんどが日からのアクセスとなっているような特に悪質な海賊版サイトであれば、被害額は、総額数百億円~数千億円に上ると推計され」ることを挙げた。その数字の出所が、以下のCODAによる推計である。 出所:知的財産戦略部会合・犯罪対策閣僚会議「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)(https://www.kant

    海賊版サイトブロッキング、被害額の推定根拠に疑義あり
  • NECが国内3000人削減、中期経営計画で9工場再編

    NECは2018年1月30日、2018年度から20年度までの中期経営計画を発表した。20年度に売上高3兆円、営業利益1500億円、営業利益率5%を目指す。国内で3000人を削減し固定費を減らすほか、テレコムキャリア事業のハードウエア生産を縮小する。エネルギー事業は小型蓄電池から撤退しSI事業に経営資源を集中させる。 国内では同社が得意とする生体認証や人工知能AI技術を活用したサービス型の事業を成長の柱に据える。海外では犯罪捜査や出入国管理などの「パブリックセーフティ」分野に加え、行政基盤や住民サービスなどの「デジタルガバメント」分野に注力する。 説明会でNECの新野隆社長兼CEO(最高経営責任者)は「当社は売上高に対し販管費の比率が高い。現状の22%から20%以下を目指す」と話した。 2018年度から間接部門やハードウエア部門を対象に希望退職者を募る。成長領域に位置付けるソフトウエア・

    NECが国内3000人削減、中期経営計画で9工場再編
  • シェール革命は短命に終わる

    年明けから原油価格がじわりと上昇している。この値動きは、2017年夏ごろ、1バレル47ドル(WTI=ウェスト・テキサス・インターミディエイト価格)程度だったころから続いているもので、現在の65ドルという水準は2014年末の価格急落以来の高値となる。 原油価格が上昇してくると、いつも想起されるのが「米国シェールオイル(*)の増産」である。果たして、現在進みつつある原油価格上昇でシェールオイルの増産は進むのか。それはいつまで続き、原油価格や世界経済にどの様な影響を及ぼすのか。 図1は、米国におけるシェールオイルの生産量の推移である。2014年に中国経済の停滞感とOPEC(石油輸出国機構)の低価格戦略(シェールつぶし)によって原油価格が下落し、イーグルフォードやバッケンといったほとんどの地域でシェールオイルの生産量は急減した。その中で、パーミヤンだけは生産量がうなぎ登りに上昇を続けた。そのため、

    シェール革命は短命に終わる
  • ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った

    あけましておめでとうございます。日経エネルギーNext編集長の山根小雪です。年もどうぞよろしくお願いいたします。 2018年はエネルギー業界にとって、大いなる変化の年になりそうな気がしています。2016年の電力全面自由化、2017年のガス全面自由化といった分かりやすいイベントはありません。ただ、大手電力にとっても、新電力にとっても、今年どう動くかがその後の行方を大きく左右すると感じるのです。 その理由は、日のエネルギー業界の巨人である大手電力の“気づき”にあります。 夏に火力発電所がフル稼働しなかった衝撃 「大手電力会社の経営陣から社員までが、初めて再生可能エネルギーを怖いと思った年」。ある大手電力幹部は、2017年をこう表現します。 電力需要が高まる夏になっても大手電力各社の火力発電所がフル稼働しない状況は、相当な衝撃だったと言います。急速に広がった太陽光発電によって、昼間の電力需要

    ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った
  • 京都市がシステム刷新失敗、「悲劇を繰り返すな」とご意見番

    京都市が2014年から81億円を投じて進めていた基幹系システム刷新プロジェクトが失敗した事案が、ついに訴訟合戦に突入する。2017年12月8日、京都市議会(京都市会)は門川大作市長名義で提出された訴えの提起を全会一致で可決した。刷新が遅延した原因となったバッチ処理のマイグレーション(開発言語と業務ロジックを引き継ぐ移行)を受託したITベンダーのシステムズ(東京・品川)に対する訴えである。 システムズは2億円を求め、京都市は8億円を求める 京都市の情報システム部門に当たる総合企画局情報化推進室の担当者は日経コンピュータの取材に対し、訴訟額は約8億円、正確には7億9976万2365円となると回答。内訳は既にシステムズに支払っていて返還を求める額が5億662万5000円、稼働遅延に伴う既存システムの延長稼働などの損害賠償金が2億2043万1696円、弁護士費用が7270万5669円という。 もと

    京都市がシステム刷新失敗、「悲劇を繰り返すな」とご意見番
  • 博多陥没、それでもNATMで掘った理由

    11月8日未明、福岡市のJR博多駅前で起こった大規模な陥没事故。地表から深さ約20mの地下では当時、NATMと呼ぶ工法で地下鉄七隈(ななくま)線のトンネルを掘削していた。設計や施工の段階で想定していたリスクとその対策は妥当だったのか、検証していく必要がある。 (関連記事:博多陥没事故、50分前にトンネル天端が「肌落ち」) (関連記事:博多駅前の陥没、NATMで掘削中に出水) 高い地下水位や薄い岩かぶり。こうした地盤条件に対して、工法の選択に問題はなかったのか――。日経コンストラクションの取材で、NATMを採用した経緯と理由が明らかになってきた。 事故前日のトンネル工事現場。視察に訪れていた福岡市議が偶然、撮影していた。この時点で大量に出水するなどの異常はなかったという。撮影から約14時間後、重機がある付近で先進導坑を拡幅している際に崩落した(写真:調 崇史)

    博多陥没、それでもNATMで掘った理由
  • 博多駅前の陥没、NATMで掘削中に出水

    午前5時15分頃、福岡市のJR博多駅前に位置する博多駅前2丁目交差点付近で、道路が幅27m、長さ30m、深さ15mにわたって陥没する事故があった。現場の地下では、地下鉄七隈線の延伸工事を実施中。隣接工区のシールド機がUターンするための空間を、大成建設JVがNATMで構築している最中に出水した。 道路全体が大きく陥没した事故現場。陥没穴には水がたまり、巨大な池のようになった。生コン車とポンプ車が横付けされ、流動化処理土による埋め戻しが始まっている。正面奥はJR博多駅。11月8日午後3時45分ごろ撮影(写真:日経コンストラクション) 事故が起こったのは「福岡市地下鉄七隈線博多駅(仮称)工区建設工事」。施工者は大成建設・佐藤工業・森組・三軌建設・西光建設JV。契約金額は112億9800万円(税込み)、工期は2013年12月から19年3月だ。 同工区の延長は東西に合計279.3m。このうち東側の

    博多駅前の陥没、NATMで掘削中に出水