バスなど運輸業界で働く運転手の過労防止策を議論する厚生労働省労働政策審議会は17日、作業部会を開いた。勤務終了から翌朝の始業までの休息時間を「最低9時間」とする同省の案に、委員の一部から異論が出て結論を先送りした。厚労省案は国際基準の「11時間」より大幅に短いことが問題視された。日本労働弁護団も同日、厚労省案に反対する声明を発表した。(池尾伸一) 現在の休息時間は1989年の告示で「最低8時間」と定められる。だが、運転手の過労や睡眠不足による事故が増え、厚労省は見直しに着手。通勤や食事時間も考慮し最低11時間とする案をいったんは提出したが、経営側の反対を受け「9時間案」に修正した。 作業部会では、公衆衛生学が専門の小田切優子・東京医大講師が「運転手を守るのは国民の安全を守るということ」と指摘。「休息時間が11時間を切ると睡眠は6時間を下回る人が多いとの実態調査からしても、11時間は重要」と