(上)編 1 「憲法学者の十中八九が安保法案を違憲と指摘している」というときの母数に学界多数の「自衛隊違憲」派学者が含まれていた、という問題 2 自衛隊合憲説の学者に限ると、集団的自衛権行使について「違憲」と「違憲とは断じ切れない」という見解に二分されていた、という問題 3 自衛隊と個別的自衛権行使の容認は9条2項と整合しない「解釈改憲」に支えられてきた、という問題昨年の閣議決定や安保法案に対しては数多くの「憲法違反」との指摘がなされたが、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとした従来の政府見解との整合性ばかり取り上げられ、憲法の条文への言及はほとんど聞かれなかった。憲法9条で決定的に重要なのは、他国の憲法にも類似の規定がある1項(戦争放棄)ではなく、「戦力」不保持と「交戦権」否認を明記した2項である。 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と