タグ

ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (27)

  • 理性としての「反緊縮」 - 梶ピエールのブログ

    黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層 作者: ヤニスバルファキス,朴勝俊,山崎一郎,加志村拓,青木嵩,長谷川羽衣子,松尾匡出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2019/04/19メディア: 単行この商品を含むブログを見る 果たして、どれだけの日人が、2015年1月から7月までの間に、ギリシャで起こったことを記憶しているだろうか。このとき、ギリシャではチプラス左派政権が成立し、トロイカ―欧州委員会、ヨーロッパ中央銀行、IMF―が政府に要求する緊縮的な「救済策」の受け入れを拒否する姿勢を鮮明にした。さらには7月には国民投票によってトロイカ案の受け入れが否決されたことで、事態は国際的なニュースとなり、その是非をめぐって活発な議論が繰り広げられた。 その「ギリシャの春」のキーパーソンが、チプラス政権の財務大臣を務めたヤニ

    理性としての「反緊縮」 - 梶ピエールのブログ
  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ

    実質GDPが過大評価されるということはどういうことか (承前)さて、書の59ページ図表9では、中国経済の公式統計が様々な「疑惑」を抱えていることをもって、「中国の実質GDP成長率が1985年以降の30年間、毎年3%水増しされている」という「控えめな」仮定をおいたとしても、実際のGDPは公式統計の3分の1であり、日を下回ってGDPは世界第3位になる、と述べている。言うまでもなく、この主張は書のタイトルの根拠にもなっている。ただ悪いけど、これは典型的な「ダメな議論」だと思う。 「中国のGDP統計に怪しいところがある」というのは事実だし、「年によっては実質成長率が数%過大に評価されている」ことも十分あり得る話だ。だからといってそこから「30年もの長期にわたって3%過小評価され続けている」という結論は、どうやったって出てこない。 そもそも、「実質GDP成長率の水増しが少しずつ重なって、最終的

    それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2017/10/27
    「中国経済に問題があることは間違いない。しかし、そこから「GDPが公式統計」の3分の1だ」といった極端な主張を引き出せるというわけではない」
  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(上) - 梶ピエールのブログ

    先日、中国共産党の第19回党大会が開かれ、その後の一中全会で新たな政治局常務委員の顔ぶれが発表されたが、それとはあまり関係なく、このところ、「中国崩壊論」がらみの記事で2回ほど取材を受ける機会があった。野嶋剛氏によるNewsPickの記事「中国経済崩壊論の問題点」(有料記事)および、高口康太氏によるNewsWeekの記事「中国崩壊の崩壊カウントダウン」である。 ただ、私は狭義の「中国崩壊」すなわち、何らかのリスクが顕在することによって近いうちに共産党政権が倒れることを予言する書籍にはあまり関心を持っていない。むしろ最近注目してきたのは、より新しいタイプの、GDPの水増しが深刻なレベルであり、実際のGDPは公式統計の3分の1程度である、といった主張を展開する、いわば「中国経済成長まぼろし」ともいうべき一連の著作である。私がこれらの著作に関心を持つのは、いわば自分の守備範囲内なので、より

    それでも中国は世界第二位の経済大国である(上) - 梶ピエールのブログ
  • 「天皇に「私(わたくし)」なし」という神話 - 梶ピエールのブログ

    少し前のことになるが、事実上胡錦濤国家主席の後継者と目されている習近平国家副主席が訪問し、天皇との会見を行ったことが、天皇が外国要人と会見する際に通常適用される「1か月ルール」に従っていなかったとして物議を醸した。この事件はいくつかの点で非常に重要な意味を持っていると思うので、ここで改めて考えてみたい。 まず、目立ったのは産経新聞など右派系のメディアを中心にした、これは党内に権力闘争を抱える習近平が天皇の政治利用をしている、けしからん、という論調の批判的な報道であった。 天皇を政治利用している=礼儀知らず、という習氏への否定的なイメージは、たとえばこの後カンボジアの訪問の際に7月5日のウルムチの騒乱の際に亡命し難民申請を行っていたウイグル人20人の強制送還が行われたとの報道により、さらに強化されたかもしれない。 確かに、人道的観点からカンボジア政府の決定が責められるべきものであるのはいうま

    「天皇に「私(わたくし)」なし」という神話 - 梶ピエールのブログ
  • 文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ

    今年は文革50周年ということもあって、文革をテーマにしたシンポジウムや雑誌の特集、書籍など、地味ではあるが様々な再検証の試みが行われてきた。その中でも、12月23日にNHKBSで放送されたドキュメンタリー「文化大革命50年 知られざる“負の連鎖”〜語り始めた在米中国人」は画期的な内容だった。番組のベースになっているのは、徐友漁らアメリカ在住の「文革世代」のリベラル派知識人の証言と、スタンフォード大のアンドリュー・ウォルダー教授による、中国の地方誌に記された情報を丹念にデータベース化する中で得られた研究成果である。近年の文革研究は、明らかにアメリカを中心に進められてきた。彼ら在米の研究者たちによって、従来の常識を覆す新事実が次々に明らかにされてきたからである。日でも、ウォルダー教授の研究チームに加わっていた神戸大学の谷川真一氏らが近年精力的に研究成果を発表しており、その内容は研究者の間では

    文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ
  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    明日(6月24日)発売の、『週刊東洋経済』6月29日号のコラム「中国動態」に、今何かと話題の中国版「影の銀行」について、当に世の中でいわれているほどアブナイものなのか、疑問を呈する記事を書きました。 ただ、記事執筆時点では先週の20日に中国のインターバンク市場で資金が逼迫し、短期金利が急騰する、という混乱を招いたことについてはフォローできませんでした。これについては、以下のtwitterのまとめおよび、KINBRICS NOWの記事をご覧下さい。 SHIBORがコイの滝登りになった件について 中国で短期金利が異常急騰、それでも中国政府が動かない理由とは そこでもツイートしているように、「中国版影の銀行は米国のようにデリバティブを駆使してレバレッジを効かせたものではなく、中堅の銀行が規制を迂回して利益を得る手段として用いているもの。適切な管理さえ行えればそれほどのリスク要因ではない」という

    お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ
  • 最近の論壇誌の記事とか - 梶ピエールのブログ

    今日(21日)から中国出張にでることもあって、このまま8月中更新しないで終わってしまう可能性もあるので、駆け込み的にメモ的なことだけ書いておきます。ブログを欠く意欲がなくなったわけではないのだが、twitterをやりだしてからとにかく入ってくる情報がこちらの処理能力を超えていて・・ さて、中途半端ながら更新しようと思ったのは下の記事で紹介した、エイズ患者、同性愛者、少数民族などマイノリティの人権問題に取り組んできた中国のNGO「北京愛知行研究所」に関する追加情報をゲットしたから。twitterで流したところそれなりの反響があったのでここでまとめておきます。 『世界』9月号に、麻生晴一郎さんによる、最近の中国のNGOの活躍や政府との衝突について紹介した記事「公民社会への道」によると、「北京愛知行研究所」は今年の3月から4月にかけ当局の徹底的な立ち入り調査や妨害活動を受け、万延海所長は活動の場

    最近の論壇誌の記事とか - 梶ピエールのブログ
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/08/27
    コメント欄も。たしかに蒼井そら人気は興味深いが
  • ユーロの足枷、あるいは対岸のギリシャ - 梶ピエールのブログ

    ギリシャの問題についてはすでにいろいろなことが語られていて、とてもフォローしている余裕はない。ここでは、一点だけ気になった点を。 スティグリッツがproject-syndicateで、ドイツが経常収支の黒字を溜め込んで域内の需要拡大に貢献していないことが今回のギリシャを初めとしたいくつかユーロ圏の「弱小国家」の不況からの脱出を阻んでいる、と批判したうえで、現在のような緊縮政策をギリシャに押し付けるよりも、むしろドイツをユーロから離脱させ(そして、ユーロをマルクに対し切り下げさせる)たほうが危機の有効な解決方法になるだろう、と指摘している。 http://www.project-syndicate.org/commentary/stiglitz125/Englishより Germany (like China) views its high savings and export prowes

    ユーロの足枷、あるいは対岸のギリシャ - 梶ピエールのブログ
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/05/09
    「スティグリッツが(中略)現在のような緊縮政策をギリシャに押し付けるよりも、むしろドイツをユーロから離脱させ」 なるほどそちらを切り離す手があったか(政治的に無理だろうけれど)
  • チョコレートの経済学 - 梶ピエールのブログ

    よい子のみなさん、2月14日は何の日か知っていますか? そう、大事な人にフェアトレードのチョコレートを贈って児童労働反対の運動に巻き込むための日なのです! ・・バレンタインデーに児童労働の問題を考えることが果たして適当かどうかはさておき、フェアトレード運動について理解する上で、最近出たこのは間違いなく良いだ。特に十分経済学の素養がある人こそ、騙されたと思ってこのを手に取ってほしいと思う。 フェアトレード 倫理的な消費が経済を変える 作者: アレックス・ニコルズ,シャーロット・オパル,北澤肯出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/12/23メディア: 単行 クリック: 17回この商品を含むブログ (7件) を見る 覚えている人もいるかもしれないけど、以前このブログで、かなり粘着的にコーヒーを中心としたフェアトレードの問題について連続してエントリを書いたことがあった。 まっとう

    チョコレートの経済学 - 梶ピエールのブログ
  • 大きな政府/小さな政府の対立を超えて - 梶ピエールのブログ

    実践 行動経済学 作者: リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン,遠藤真美出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/07/09メディア: 単行購入: 8人 クリック: 365回この商品を含むブログ (97件) を見る 邦訳のタイトルはミスリーディングだと思う。確かに前半は行動経済学の説明であるが、むしろそれはツールとしての必要からなされていて、主眼は著者の政治的立場である「リバタリアン・パターナリズム」の内容とその実践に関する説明の方にある。そしてそこにこそ、小さな政府と大きな政府という古典的な対立では捉えられない、現代社会の変化をとらえた書の重要な問題提起があると思う。 例えば、金融危機の後、もっとも必要なのは適切な金融市場の規制であり、ケインズ的な、すなわち裁量的な財政金融政策を安易に復活させるのは誤りだ、という主張が「小さい政府」の支持者から唱えられた。しかし、僕は

    大きな政府/小さな政府の対立を超えて - 梶ピエールのブログ
  • 梶ピエールの備忘録。 - 優等生だったはずなのに・・

    満州事変から日中戦争へ―シリーズ日近現代史〈5〉 (岩波新書) 作者: 加藤陽子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06/20メディア: 新書購入: 3人 クリック: 66回この商品を含むブログ (49件) を見る 岩波新書は新赤版になってから重量級の作品が増えたような気がするが、この1冊も新書とはとても思えない内容のヘビーさ。というか新書で紙幅が限られているので余分な説明がそぎ落とされているせいか、僕なんかは3回最初から読み直してようやくだいたいの内容が頭に入った始末。このような格的な啓蒙書と、20分間くらいで読めてしまいそうなカジュアルと同じ「新書」というカテゴリーでくくってしまってよいのだろうか、というのはひとまずおいとくとして・・ 書の特色をあえて言うなら、「条約と国際法」の解釈をめぐるすれ違い、という観点から1930年代前後の日中関係の複雑さおよび戦争にいたる

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2009/05/06
    「本書の特色をあえて言うなら、「条約と国際法」の解釈をめぐるすれ違い、という観点から1930年代前後の日中関係の複雑さおよび戦争にいたるロジックを読み解いたところにある」
  • 汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。

    先日NHKBSで放送されたソリウス・サムラ氏によるケニア社会のドキュメンタリーは、物の「賄賂社会」というものがどういうものか余すところなく伝えていた。一言でいうと、ケニアではスラムのようなただでさえ貧しい人々が住むような地域であっても(というか、そういう地域だからこそ)、ほとんどの公共サービス(電気・水道・ビジネスの認可、建築の許可・・)が役人への賄賂なしでは受けることができないのだ。その賄賂の負担の重さは、スラムの住人の生活をますます苦しいものにしている。 また、来はそういった貧しい人たちのためのものであるはずの政府補助金の分配も、やはり賄賂によって左右される。活動実態のない「地域住民組織」やNGOが多数作られ、役人を買収することで正式な認可を受け、補助金を受け取ることが横行しているためだ。このことは、海外からの資金援助もこのようにして不正に着服されてしまう可能性が大いにある、という

    汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2008/07/28
    「このような議論は、一見荒唐無稽に見えるが、実は市場さえ機能していれば財・サービスの所有権の設定は配分効率性に影響しないという「コースの定理」に基づいている」 市場原理が機能しているという前提で
  • 中国との貿易は「格差社会」をもたらすか - 梶ピエールのブログ

    表題のテーマをめぐって、興味深い論争がアメリカ経済学者の間で行われているようだ。 元ネタであるこの記事によると、「中国との貿易(つまりは経済のグローバル化)は国内格差を拡大させる」という立場の代表的な論客としてあげられているのが誰あろうPaul Krugmanである。彼の最新の Brookings paperによると、1990年代以降の、中国のような低賃金労働の経済との貿易の急激な拡大がアメリカ国内の熟練労働者と単純労働者との賃金差の拡大をもたらし、国内の不平等を拡大させるという主張が展開されているという。この結論自体は国際経済学の標準理論であるストルパー=サミュエルソンの定理からも導かれるもので、むしろ経済学的にはオーソドックスな見解だといってよい。 こういった見解に対する反論が展開されているのが、Christian Broda と John Romalisによるこの論文である。 ちな

    中国との貿易は「格差社会」をもたらすか - 梶ピエールのブログ
  • 『論座』4月号 - 梶ピエールのブログ

    論座 2008年 04月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局発売日: 2008/03/01メディア: 雑誌この商品を含むブログ (6件) を見る これは買いだと思います。まず巻頭の飯田泰之さんによる昨今の「糧安保論」の虚妄を鋭く衝いたコラムは何一つ付け加えることのない卓見。特集「「理想の書評」を求めて」は結局のところ「やっぱり欧米文化は奥が深い、日も見習いましょう」という内容になっていてちょっとアレだが、台湾の政府関係者へのインタヴューをまとめたもう一つの特集は文句なく画期的。このほか小倉紀蔵さんの李明博大統領を論じた文章は相変わらず分かりやすく面白いし、個人的に隠れた名連載だと思っているふるまいよしこさんの「中国UPDATE」では「闘う農民領袖」孫大午の肉声を伝えていて中国に関心のあるものには見逃せない。僕は実家で購読しているのをタダで貰って帰ったのだが、780円出して

    『論座』4月号 - 梶ピエールのブログ
  • 『ポル・ポト ある悪夢の歴史』 - 梶ピエールのブログ

    ポル・ポト―ある悪夢の歴史 作者: フィリップショート,山形浩生出版社/メーカー: 白水社発売日: 2008/02メディア: 単行購入: 2人 クリック: 139回この商品を含むブログ (37件) を見る 237ページに出てくる「亜非拉(亜洲、非洲、拉丁美洲)培訓中心」の表記に関する情報を提供しただけなのに、7000円もするをもらってしまって当にいいんでしょうか。どうもありがとうございます。しかし1960年代の北京には「アジア・アフリカ・南米の革命家向け共産主義研修所」なるものが当に存在したんですなあ。中国外交史の観点からもきちんと検証されるべき著作ではないでしょうか。明日からの出張に持っていこうか思案中(なにしろ重いので)

    『ポル・ポト ある悪夢の歴史』 - 梶ピエールのブログ
    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2008/02/02
    かつてアジア的優しさに満ちていた国の歴史
  • 「「歴史認識」認識」問題 - 梶ピエールのブログ

    中国でどう教えられているのか (平凡社新書) 作者: 西村克仁出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2007/11メディア: 新書購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る 同志社香里の先生が半年間北京の中学・高校の歴史の授業を見学した体験記。実はこのはつい最近まで出たことも知らなかったのだが、いつも辛辣な書評で知られるnetoさんが(わりと)ほめていらっしゃったので早速購入した。今月の『激流中国』のテーマもそうだったけど、最近の中国の学校は外部からの取材を比較的自由に受け入れるようになってきているという印象を受ける。これも自信の表れだろうか。 さて、書から受ける印象を一言でいえば、こと日中間に関する限り、いわゆる「歴史認識」というよりは「「歴史認識」認識」、つまり社会における「歴史」というものの位置づけについてのギャップのほうがはるかに深刻なのだ、という

    「「歴史認識」認識」問題 - 梶ピエールのブログ
  • ハンガリー事件と日本の左翼 - 梶ピエールのブログ

    ハンガリー事件と日―一九五六年・思想史的考察 作者: 小島亮出版社/メーカー: 現代思潮新社発売日: 2003/05メディア: 単行購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (6件) を見る 「君の涙、ドナウに流れ」に触発されてすぐに注文したこのが年末にとどいたのですぐに読んだが、日思想史としてもナショナリズム論としても非常に重要な問題提起をしていることに驚いた。再版されてからも既に数年が経過しているので、いまさら取り上げるのも不勉強をさらすようなものだが、これも年末から正月にかけて読んだ大澤真幸『ナショナリズムの由来』から読み取れる論点とも重要なかかわりを持っているように感じたので、とりあえずこのについて簡単に触れておきたい。 著者は講座派マルクス主義の強い影響下に思想を形成したと後書きで触れているのだが、そこから抜け出ようという苦闘の表れか、講座派知識人のハンガリー

    ハンガリー事件と日本の左翼 - 梶ピエールのブログ
  • 「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」 - 梶ピエールのブログ

    担当している「中国経済論」授業でちょうど台湾経済のところまできたのだけど、改めて考えると台湾歴史や中台関係について、その背景がコンパクトに説明された映像作品というとありそうでない。かといって『悲情城市』を学生にいきなり見せるのは無茶だ。それで内田樹氏のようにとんでもない勘違いをされても困るし。 そんな中、先日NHK-BSで放送された過去の山形ドキュメンタリー映画祭上映作品シリーズの中の一つ、「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」は、第二次大戦末期に海軍少年工として日で働いていた台湾人老人達へのインタヴューを中心に構成され地味な作品だが、戦前からの台湾中国・日との関係の複雑さが凝縮された佳作であり、上に書いたような意味での教材としても十分使えそうだ。 番組によると、1943年から44年にかけて、皇民化教育を受けた世代に当たる8千人ほどの台湾少年工たちが「お国のために働きながら勉強できる」

    「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」 - 梶ピエールのブログ
  • 2007-12-20 - 梶ピエールの備忘録。- お正月に読みたい本

    ほとんど話題にもならなかったが、今年は中国で反右派闘争が起きてから50周年目にあたる。それにあわせたのだろうか、反右派闘争で糾弾され「最大の右派」とレッテルを貼られた中国民主諸党派のリーダー章伯鈞の娘による回顧録の翻訳が出版されている。 嵐を生きた中国知識人―「右派」章伯鈞をめぐる人びと 作者: 章詒和,横澤泰夫出版社/メーカー: 集広舎発売日: 2007/10/25メディア: 単行 クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る オリジナルは中国で出版されてベストセラーになった後発禁になり、その後内容が増補されて香港で出版された。一応オリジナルも持ってはいたのだが今までちょっと手が出なかったので、翻訳が出たのを知って早速購入し、通勤時間などの暇に少しづつ読み進めたのだが、当はお正月にでもゆっくり読みたかった。あるいはもういっぺん通読するか。 改めて僕などが指摘するまでもないこ

    2007-12-20 - 梶ピエールの備忘録。- お正月に読みたい本
  • 2007-09-15

    id:deveconさんのエントリで、ウィリアム・イースタリーがオンラインによるプロジェクト援助のシステム、グローバルギビングに好意的に言及していることを知った。実は"The White Man's Burden"asin:0143038826:は前半部だけ読んで理解した気になっていたので、この機会に後半部を読んでみた。で、改めてイースタリーという人は面白い人だと思う。実はこのの後半部はその多くの部分が欧米諸国(White Man)が非西洋社会に対してこれまで行ってきた植民地支配や軍事介入などの「悪行」をこれでもかと並べ立てるような内容となっている。また、彼は植民地支配や、その結果としての恣意的な国線の設定が途上国の経済パフォーマンスにどの程度マイナスの影響を与えるか、という計量的な分析も行っている。 続きを読む 明日(16日)から23日まで中国は四川省江油市(それどこやねん、という人が

    2007-09-15