「期待」を味方にした黒田新総裁 金融政策では、アナウンスメント効果が重要であることは、従来から認識されてきた。かつての公定歩合の変更、市場金利の誘導目標の変更は、その金利変動自体が実体経済に及ぼす影響よりも、政策変更のアナウンスメントが金融市場関係者の期待に及ぼす効果が、短期的にはより重要であると考えられてきた。黒田新総裁は、この期待効果を、極めて上手く活用した。総裁就任直後の4月初めに、市場関係者が驚くほどの思い切った量的緩和を打ち出し、自信たっぷりに2年間で2%のインフレ目標を達成すると宣言することで、為替相場と株価の流れを景気拡大の追い風に変えることに成功した。日銀は主に国債を大量に買い入れることで、マネタリーベース(銀行通貨と金融機関が日銀に保有する当座預金の合計)の残高を、2年以内に2倍すると同時に、買い入れる国債も平均残存期間の長いものを増加させることで、長期金利を抑制する方針