■要旨 決済システムの将来像を考える際に、ブロックチェーン技術の活用の有無といった技術論から中央銀行マネーの在り方を考えるのは適切ではない。伝統的なプレイヤーである銀行以外に、ノンバンク決済事業者がリテール決済サービス市場に新規参入するなど、決済システムの構造が大きくかわりつつある中で、中銀マネーにはいったいどのような役割が求められるのか、民間マネーとの違いは何か、という本質論を抜いたままでは、決済システムの将来像に関する議論が迷走してしまう。中央銀行デジタル通貨の検討を進める際には、デジタル社会における中銀マネーと民間マネーの交換可能性(convertibility)をどう確保していくか、という点を軸に理解を深めていくことが重要となる。 ■目次 1――はじめに 2――CBDCとは何か 3――中銀マネーの役割 1│マネーの等価交換と一様性 2│危機時における中銀マネーの役割 4――CBDC