戦後の演劇界発展に大きな役割を果たしてきた東京・六本木の「俳優座劇場」が、2025年4月末に閉館することが明らかになった。運営する株式会社俳優座劇場によると、設備やビル自体の老朽化が進み、収支も厳しくなっていたという。演劇人やファンらに親しまれてきた殿堂は、約70年の歴史に幕を下ろすことになる。 劇場は1954(昭和29)年4月、劇団俳優座の創立10周年を記念して建設された。創立メンバーの一人で演出家の千田是也が提唱し、俳優らが尽力して資金を集めた。財界にも協力を仰いだという。 新劇界は戦前・戦中に弾圧され、24年に小山内薫と土方与志らが作った新劇初の常設劇場「築地小劇場」という拠点も45年の空襲で失っていた。