日本と外国とのモノやサービス、資金のやりとりを示す「経常収支」の黒字が減っている。11年の黒字額は9兆6289億円と15年ぶりに10兆円を割り込んだ。円高などで国際競争力が低下すれば、いずれ経常赤字に陥るとの見方も強い。経常収支の先行きと、日本経済への影響、どう対応すべきかを探った。【山本明彦】 Q 経常収支の黒字が減ったのはなぜ? A 海外の景気低迷で輸出が減ったのに、原発事故で火力発電向け燃料などの輸入が増え、貿易赤字になったことが効いています。経常収支とは、貿易▽サービス▽所得▽経常移転の各収支を合わせたもので、日本が外国相手にどう稼いでいるかがわかります(表参照)。このうち額が大きいのが貿易収支と所得収支です。11年は、所得収支の黒字が前年から2割増えて14兆296億円になる一方、輸出から輸入を引いた貿易収支は1兆6089億円の赤字に転落。赤字は48年ぶりです。 ◇原発事故原