疫病が流行しているので不要不急の外出が禁じられた。そのために人々は個人的なコミュニケーションに困り、インターネット越しに話したりしていたようである。僕にはそういうのはとくに必要ないのでやらなかった。数ヶ月間くらい私的なコミュニケーションがなくても僕の精神はとくに問題を感じない。個人的な情を交換する会話は年に何度かでじゅうぶんに足りる。疫病のせいではない。もとからである。そういうのを正常でないと言う人もいるんだろうけれど。 久しぶりに友人と会った。その友人が久しぶりなのではなく、友人という関係の人間に久しぶりに会った。なにしろ僕の友人は一桁しかいない。そのうえで疫病が流行したので、他者がいる空間での食事など一年ぶりである。僕は独居で、遠方に住む血縁者と話したいという欲求もとくにないので(仲が悪いわけではない。単に必要がないのだ)、一年間、すべての食事を黙って一人で食べた。そういうのは正常な状
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