ノーベル経済学賞とお神輿需要 2004年10月、今年もノーベル経済学賞が発表された。米カーネギーメロン大学のフィン・キドランド教授(60)と、米アリゾナ州立大学のエドワード・プレスコット教授(63)の二人である。なんとなんと彼らは、わたくしが『年金改革と積極的社会保障政策』の中で、「合理的期待学派の衰退の時期に重なりながら登場してきたリアル・ビジネス・サイクル(RBC)の一派は、相応の数の信者を得ることはできたのであるが、政策の場で実験されることもなく研究者仲間でのブームは消え去っていった」〔p.169〕と論じた、あのRBC理論を作った人たちである。RBC理論に対する経済学者による批判は数しれず、日本では吉川洋氏が「リアル・ビジネス・サイクル理論は実証的基礎をまったく欠いていると言っても過言ではない」と痛烈に批判されている〔吉川(2000)『現代マクロ経済学』, p.99.〕。そういう理論