「記者会見では、ぜひ例の黒の大型ケースを使って脱出の手口を実演してほしいと願っていたが、そんな場面はなかった。記者会見は退屈だった。脱出の手立てに関する一連の質問はすべてはぐらかされた。世の分別ある人たちの関心を引いていたのは、ひとえにその脱出の手立てだけだったというのに」 日産自動車元会長カルロス・ゴーンが1月8日に開いた記者会見についてそうコラムに書いたのは、米経済メディア「ブルームバーグ」のマット・レヴィーンだ。 しかしそんな退屈な記者会見のなかで、ひとつだけ興味深く感じられたことがあったとレヴィーンは書いている。それはゴーンの刑事司法制度に対する考え方だ。刑事司法制度とは自分の判断で受け入れたり拒否したりできるものという、きわめて特殊な考え方をしているとレヴィーンは分析する。 ゴーンは記者会見で次のように語った。 「私は最も基本的な人道の原則に反する(日本の)司法制度を白日のもとに