【プロジェクト前夜】 「A君最近よく手が挙がるんよ!他の授業でも!」 これは今から5年前の2013年秋,愛媛県美術館が小学校で実験的に行った対話型鑑賞授業(連続10回)で,クラスメイトの児童が話してくれたA君(当時1年生)の姿です。 しかし,私は子供の話を聴くまで,A君の「変化」に気付いていませんでした。幸いこの授業は録画していたので,再度,授業の様子を見直してみました。するとA君,5回目以降から手が挙がり始めます。そしてその手は授業を重ねるごとにまっすぐに伸びていったのです。 「変化」はA君一人だけではありませんでした。授業では子供たちの観察力と思考力の深まり具合をみるため,10回の授業の前後に,同じ作品画像をみて感想を書く時間を設けていました。結果をみて,私はびっくりしました。そこには,表現こそそれぞれ違いますが,「なぜ?」と自ら問い,その理由を作品の中に探し,考え続けようとしている子