マンガ好きなら誰しも、心の中に“自分だけの名作”を持っているはず。誰かが特別に面白いと思ったその作品は、ほかの誰かにとっても特別なものになりうるのではないだろうか。そんなマンガをもっと知りたいという思いから、コラム「私の名作」はスタートした。 このコラムでは人一倍マンガを読み、また紹介してきたであろう人々に「あなたが名作だと思うマンガは?」と問いかけ、とりわけ思い入れのある、語りたい1作を選んで紹介してもらう。第1回にはマンガ評論家・ツクイヨシヒサ氏が登場。野球マンガの評論を得意とする彼が挙げてくれたのは、あだち充の水泳マンガ「ラフ」だった。 文 / ツクイヨシヒサ 亜美はあだち充作品、随一のヒロインいきなりだが、スペースが足りない。「ラフ」はあだち充の最高傑作だ。正直、書籍3冊分ぐらい書きたい気持ちなのだが、そうもいかないらしい。なので、書きたいことから書く。 「ラフ」は水泳マンガである