量子技術について、防衛省も軍事利用へ向けた戦略検討に乗り出している。しかし、2022年度補正予算案で防衛省関連の経費はゼロ。民間技術の軍事転用に二の足を踏む防衛省独特の「配慮」も背景にあるようだ。 センサーや暗号の飛躍的な機能向上が期待される量子技術について、防衛省も軍事利用へ向けた戦略検討に乗り出している。政府全体でも量子技術活用に向けた戦略を策定し、2022年度補正予算案に関連経費を計上している。だが、防衛省関連の経費はゼロ。民間技術の軍事転用に二の足を踏む防衛省独特の「配慮」も背景にあるようだ。 「AUKUS(オーカス)が『量子』を掲げた。わが国もひとごとではない。量子で何ができるのか検討しないといけない」。米英豪の新たな軍事協力の枠組み「AUKUS」が21年12月の初会合で人工知能(AI)やサイバー戦能力とともに量子技術での協力を宣言したことについて、防衛省幹部はこうつぶやいた。