ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (71)

  • 保守派知識人の黄金時代はいつだったのか? - himaginary’s diary

    と題したブログエントリでクルーグマンが、以下の4項目について保守派の考え方を腐し、彼らの黄金時代など無かった、と一蹴している(原題は「When Was The Golden Age Of Conservative Intellectuals?」)。 マクロ経済学 フリードマンと初期ルーカスが、積極的な政策(特に財政)を批判したことで有益な貢献をしたことは疑いない。1976年頃のシカゴマクロ経済学のパフォーマンスは実際大したものだった。 しかし、1980年代の出来事でルーカス型のモデルは失敗した。一方、アップデートされたケインジアンモデルは持ちこたえた。だが、保守派のマクロ経済学者は巣穴に深く潜り込み、ケインズ主義だけでなくフリードマン型のマネタリズムにも事実上背を向けた。 深刻な不景気と闘うための積極的な金融拡張策は、元々は保守派の考えだった。しかし今やそれは左派に歓迎される半面、右派が忌

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    finalvent 2017/07/11
  • 蕎麦屋の蕎麦にラーメンの汁を足してみると - himaginary’s diary

    東京財団が消費税シミュレーションツールを公開し、やや炎上気味に話題になっている。指摘されている問題点の一つは、消費税率を動かしても成長率に影響しない点である。批判者はそれは現実的ではないと言い、擁護者はそもそもこのモデルにそうした動作を求めるのは蕎麦屋でラーメンを求めるが如く筋違いだと言う。 財政政策と実体経済とのフィードバック関係に関する最近の理論としては、ブログでも何度か取り上げているデロング=サマーズの研究がある*1。東京財団のモデルはフリーソフトのRで動く上に、ソースが公開されているため、修正が可能となっている。そこで、取りあえず3/21エントリでデロング=サマーズを基に考えたような税率変更から実質成長率への影響を、quick and dirtyな形で取り込んでみた。 具体的には、prj_m_.rの「実質GDP成長率 伸長」のブロックを以下のように変更してみた(最後の2行が追加行

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    finalvent 2016/06/06
  • 日本の経済学界をノーベル経済学賞に推薦する動きが表面化 - himaginary’s diary

    昨年、憲法九条を保持している日人をノーベル平和賞に推薦する動きがあったが、今年は、日経済学界をノーベル経済学賞に推薦する動きが出ている。その動きを掴んだ紙は、同運動を主唱する経済学者への直撃取材を試み、話を聞くことができた。 同氏は紙に次のように語った。「米国の経済学界では、ポール・クルーグマンをはじめとする古いケインズ経済学の尾っぽを引き摺った経済学者が、シカゴ学派をはじめとする真っ当な経済学者による厳しい批判にも関わらず、未だに幅を利かせている。日経済学界では、主流派経済学による淘汰と純化が徹底したため、米経済学界に見られるようなそうしたみっともない事態は金輪際起こり得ない。その点で日経済学界は世界をリードしていると言え、そうした純化の努力を通じた経済学への貢献は、ノーベル経済学賞に十分に値する。」 また同氏は「クルーグマンが推奨するような政策がこの日で実施されたこ

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    finalvent 2015/04/01
  • 保守派は左翼的経済政策を好む - himaginary’s diary

    イェシバ大学のAriel Malkaとトロント大学のMichael InzlichtがNYT論説でそう書いている(H/T Economist's View、石町日記さんツイート)。 Our research, which we published along with Christopher J. Soto of Colby College and Yphtach Lelkes of the University of Amsterdam, was the largest cross-national test of how a conservative personality style actually relates to cultural and economic attitudes. Analyzing responses from over 70,000 people fro

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    finalvent 2015/01/07
  • ピケティ本の簡単なモデル - himaginary’s diary

    ここで紹介した話題のピケティについて、デロングが若干の異議を申し立てている。 それによると、ピケティは富へのリターンrと経済成長率gの対比を主要テーマとしているが、その際、4種類のrを区別することを怠っているという。その4種類とは: 中央政府が借り入れを行うことのできる実質金利。これをr1とする。 社会経済における富への現実の平均リターンとしての実質金利。これをr2とする。 リスクを伴う平均的な富の純蓄積割合としての実質金利。これをr3とする。 資への見返り−収奪・破壊・課税のリスク+価値評価上昇−社会秩序維持目的の支出 額に関わらず資や富がもたらす実効所得。これをρとする。 何らかの形で標準化された富と年間所得の比率(例:4)における社会経済の富へのリターンの標準化された尺度。 このうちの最初のr1は、サマーズの長期停滞論に関係する。r1がインフレ率のマイナス値にまで低下すると、資

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    finalvent 2014/09/02
  • 経済の進歩の測定 - himaginary’s diary

    Enlightenment Economicsなる会社を率い、最近下記のを出した英国のフリーランス経済学者Diane Coyleが、先月「Measuring economic progress」と題した記事をvoxeuに寄稿し、GDPやその代替指標について論じている(H/T Mostly Economics)。 GDP: A Brief but Affectionate History 作者: Diane Coyle出版社/メーカー: Princeton University Press発売日: 2014/02/23メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る そこでは、GDPの「生い立ち」について以下のように書かれている。 One of the key questions debated in the 1930s concerned the aim of a si

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    finalvent 2014/03/17
  • 欧州についてはクルーグマンは逆神? - himaginary’s diary

    タイラー・コーエンが「この論説記事に書かれていることすべてに賛成するわけではないが、幾つか良い指摘をしており、いずれにせよこうした視点は経済ブロゴスフィアで十分に表明されていない(I don’t agree with everything in the piece, but it makes some good points and in any case this perspective is underrepresented in the economics blogosphere)」というコメントを添えてAnders Åslund*1のForeign Policy記事「Paul Krugman's Blind Spot 〜Sorry, but the New York Times' star columnist just doesn’t understand Europe.〜」にリン

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    finalvent 2013/11/14
  • フィリップス曲線は健在なり - himaginary’s diary

    というNBER論文「The Phillips Curve is Alive and Well: Inflation and the NAIRU During the Slow Recovery」をロバート・ゴードンが書いている。 以下はその要旨。 The Phillips Curve (hereafter PC) is widely viewed as dead, destined to the mortuary scrapyard of discarded economic ideas. The coroner’s evidence consists of the small standard deviation of the core inflation rate in the past two decades despite substantial volatility of the

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    finalvent 2013/09/03
  • キプロス異聞 - himaginary’s diary

    キプロス政府がユーロ圏から100億ユーロの金融支援を受ける代わりに、銀行預金を封鎖してそれに課税し、GDPの1/3に相当する58億ユーロを捻出する、というベイルアウトならぬベイルイン政策を打ち出したが、ブロゴスフィアの反応は概ね否定的と言える。The Macro Manはまったくもって馬鹿げた愚かな考え(utterly idiotic, stupid idea)と腐し、エド・ハリソン(Naked Capitalismにクロスポスト)は他の周縁国の預金者への悪影響(very negative implications for bank depositor confidence in other European periphery countries)を憂慮し、Nick Roweは自国通貨を持つ国が課すインフレ税と違って現金には掛からずに銀行預金だけに掛かる税金は銀行への取り付け騒ぎを招く恐

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    finalvent 2013/03/19
  • 極端な通常としての日本 - himaginary’s diary

    ジェームズ・ハミルトンが政府債務を巡ってクルーグマンらと論争を繰り広げている。 論争の焦点になっているのは、ハミルトンがミシュキンらとの共著論文*1で示した以下の回帰式である*2。 この式を基にハミルトンは、政府債務の対GDP比率が高くなると金利が上昇し、やがて下図のように手に負えなくなる、と警告した。 それに対するクルーグマン(+ここ)、The AtlanticのMatthew O'Brien、デロング、Tim Duyの反論は、概ね以下の2点に集約される: 日を単なる特別ケースとして扱って良いのか? (上の回帰式ではαiは国ごとの固定効果を扱っており、日は非常に大きなマイナスの値となっている) 自国通貨を持たないユーロ圏の国がサンプルの多くを占めるとはこれ如何に? クルーグマンは論文のデータを用いた以下の散布図を示して、そうした論点を視覚的に表わしている。 またTim Duyは、日

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    finalvent 2013/03/19
  • クルーグマンのマイナス均衡実質金利論:日本の経済学者の受け止め方 - himaginary’s diary

    クルーグマンが「It's Baaack」論文で日の流動性の罠の原因を人口減少に求めていた、という点を、最近uncorrelatedさんが頻りに強調されている(例:こちらのブログエントリやこちらのツイート)。そこには、日の論者がその点をスルーしてきた、という含意が込められているようである。だが実際には、その点も日経済学者によって議論されてきた。例えば、均衡実質金利を実際に測定した鎌田康一郎氏の論文*1では以下のように記されている: ただし、ここでの結果は、必ずしもクルーグマンの議論をサポートする材料とはなっていないようである。Krugman[1998]では、負の均衡実質金利の原因を高齢化と労働人口の減少に求めている。仮にその議論が正しいとすれば、負の均衡実質金利は持続的な現象となるはずである。しかし、稿の結果をみると、均衡実質金利の推計値は、その多くが、2000年代初頭に正値に転じ

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    finalvent 2013/02/08
  • 1999年のバーナンキvs2002年のバーナンキ - himaginary’s diary

    昨年末にTim Duyが、デフレ脱却は中銀のインフレ目標だけでは駄目で、財金一体とならなくては効果を発揮しない、と書いた。石町日記さんがツイッターでその内容を簡潔に以下のように紹介している*1。 https://twitter.com/hongokucho/status/284163442250743809:twitter https://twitter.com/hongokucho/status/284164539921072128:twitter それに対しEconomistのFree Exchangeでライアン・アベントが反論している。 Mr Duy makes his point apropos of a recent Floyd Norris piece. Mr Norris looks at the state of play in Japan in light of a 2

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    finalvent 2013/01/05
  • FRBが長期の「インフレ目標」を2%に設定したわけ - himaginary’s diary

    昨日のエントリに対し 「通貨・国債・政府の信用を人為的に下降させたインフレが経済成長を約束させるのか」の反論になっていない。高成長期のインフレと同一視して良いのか。 誰も紙幣を使わない社会にも、国債の残高が限りなく小さな社会にも、好景気は存在する。言い換えれば、信用スプレッドはゼロ以下には潰れない。 というはてぶコメントを頂いたが、それらのコメントと小生の認識との最大のギャップは、流動性の罠をどう考えるか、という点にあるように思う。小生は、とにかく流動性の罠を抜け出すのが先決で、それを抜け出さなければ高成長もへったくれもない、だから取り合えずは脱出に傾注しよう、という認識を持っているのだが、上記のコメントを頂いた方々はそうした認識をお持ちでないように思われる。 その点についての小生の考えを思いつくままに箇条書きで並べてみる。 頂いたコメントからは、インフレには貨幣とは無関係に決まる何らかの

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    finalvent 2012/11/30
  • 中銀の独立性と財政規律とティンバーゲンの定理 - himaginary’s diary

    今日は最近の日銀の独立性を巡る議論を巡ってふと思いついたことをメモ的に書き留めておく。素人の思いつきなので、あくまでもそのつもりで読んでいただければ幸甚。 日銀の独立性を崩すことには、以下の2つの功罪がある。 財政ファイナンスを利用してデフレ脱却を図ることができるようになる cf. 池尾和人氏ツイートないしそのリンク先エントリ。 財政規律が崩れる cf. 岩康志氏ツイートないしそのリンク先エントリ。 日銀の独立性を重視する人は、後者のマイナスの帰結が必ず生じるので、前者のプラス効果は諦めて、この問題に手を出すべきでない、と言う。 しかし、このように日銀の独立性を崩すことにプラス・マイナスの2つの効果があるということは、そもそも、日銀の独立性という1つの政策手段に、物価安定と財政規律の2つの目的を持たせている、というティンバーゲンの定理に違背した状態にあることに起因しているのではなかろうか

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    finalvent 2012/11/26
  • バーナンキの背理法・ニューマネタリストの見方 - himaginary’s diary

    Economist's Viewや石町日記さんが紹介しているように、Stephen Williamsonが改めて名目GDP目標への懐疑論を表明している(以前の彼の懐疑論についてはこちらを参照)。それにサムナーが反論し、さらにそれにWilliamsonが反論したが、そのコメント欄で、いわゆるバーナンキの背理法(その用語自体は「和製英語」なのでもちろん使われていないが…)を巡るやり取りがあった。Williamsonのこのテーマに関する見解を知るのに良いので、以下にそのやり取りを訳出してみる。 JSR July 3, 2012 1:52 PM 2つばかり質問。 もし量的緩和が(いかなる規模のものであれ)物価を上昇させることは無いと思っておられるならば、FRBが(理論上は)15兆ドル規模の米国の債務をすべて買い戻せるということでしょうか? そうなると、FRBは、インフレを一切もたらすこと無しに、

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    finalvent 2012/07/10
  • 欧米が日本の轍を踏むことはない - himaginary’s diary

    と欧州中央銀行が月報に書いている(Mostly Economics経由)。 以下はその結論部より。 This article has described several differences both in the causes as well as in the policy response behind Japan’s “lost decade” and the recent crisis in the United States and the euro area. The latter two are rather unlikely to tread precisely the path of Japan. At the same time, Japan’s experience highlights the difficulties for economies emergin

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    finalvent 2012/05/19
  • 議論に勝って勝負に負けつつある景気循環論者 - himaginary’s diary

    2年ほど前に、小生はブログで以下のようなことを書いた。 …おそらく当初は皆バブル崩壊に伴って生じた需要不足という見方で概ね一致していたのだろうが、不況が長引くにつれ「いや待てよ、これだけ長引くならば単なる一時的な需要不足の問題ではないだろう、もっと根的な構造問題なのではないか」という見方が広まっていったのではないか。そして遂には、従来の経済学における需要喚起策をむしろ有害無益であるとして捨て去り、日独自の経済構造の指弾にのみ焦点を合わせる、という見解が力を得ていったのであろう。 そう考えると、米国の経済学界でも、現在の景気低迷が長引けば、ひょっとすると日と似たような構図が現われるかもしれない。既にアーノルド・クリングの再計算理論などにその萌芽は見られる。願わくば、そうした状況が生じる前に米国の景気が回復してほしいものだが…。 レーガノミックスは経済成長をもたらしたか? - hima

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    finalvent 2012/05/17
  • 大恐慌時の金本位制と現在のユーロとの違い - himaginary’s diary

    についてアイケングリーンがProject Syndicateに書いている(Economist's View経由)。以下は彼の挙げる当時と現在の相違点で、これらの違いによりユーロは金位制と同じ運命を辿らずに存続できるかもしれない、と彼は言う。 単一の中央銀行 考え方の異なる中央銀行が足並みを揃えて金融政策を実施するのは言うは易し、行うは難し。一方、ECBはその気になればユーロ圏全体をリフレートできる。問題はその意思があるかどうかだが…。 失業保険の充実 最近の社会保障制度の削減にも関わらず、現在の失業給付は当時よりも多い。そのため、ユーロを放棄せよというポピュリスト的な圧力も当時より弱い。 政治環境の良好化 当時はドイツの再軍備に対するフランスの不信があり、中欧金融危機の対処への協力をフランスは拒否した。オランド大統領就任後に独仏関係が緊張するとしても、当時の緊張関係はその比ではない。 ま

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    finalvent 2012/05/13
  • なぜブロゴスフィアでの経済はマクロばかりなのか? - himaginary’s diary

    少し前に、Econospeakでピーター・ドーマンが表題のような疑問を投げ掛けた。経済学者の大多数はミクロ経済学者なのに、ブロゴスフィアを見るとマクロネタばかりなのはなぜか、という疑問である。 これに対し、コメント欄でノアピニオン氏が以下のような回答を返している。 1. Macro has a lot bigger ramifications for people's lives (and hence for policy) than micro. If the govt. makes macro mistakes, people lose their jobs. 2. Macro is more controversial. People like controversy for several reasons, including A) that it's fun, and B) th

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    finalvent 2012/05/01
  • 何が国家の繁栄を決めるのか? - himaginary’s diary

    下記のダロン・アセモグルとジェームズ・ロビンソンの新著の内容が、MITニュースで紹介されている。 Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty 作者: Daron Acemoglu,James Robinson出版社/メーカー: Currency発売日: 2012/03/20メディア: ハードカバー購入: 13人 クリック: 175回この商品を含むブログ (12件) を見る 以下は同記事の概要。 米国のように繁栄する国家がある一方で、貧困に留まる国家もある。また、古代ローマやソ連のように強国なのに崩壊する国家もある。アダム・スミスやマックス・ウェーバーから今日の学者に至るまで、多くの学者がこの問題に取り組んできた。 アセモグルとロビンソンが出した回答は政治体制。包括的な(inclusive)政治体制、即ち、政

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    finalvent 2012/03/24