「行ってきます」「ありがとう」「いただきます」そして「好きだよ」――生活の中で意識せずに発している「声」。それが出せなくなった自分を、想像できるでしょうか。 失わないと実感しにくい、声の役割。常にその可能性と隣り合わせのある難病の患者と、テクノロジーで患者をサポートする研究者に「声を失う」ことについて話を聞きました。 「好きだよ」と他人に代わりに伝えてもらう? 『WITH ALS』代表の武藤将胤(まさたね)さんは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の患者です。ALSは、知性や感覚はそのままに、運動能力が衰えていく病気。症状が進行するにつれ、手足が動かなくなります。やがて呼吸もできなくなるため、延命治療には人工呼吸器が必要です。武藤さんも人工呼吸器をつけるための気管切開手術を受けています。 日本では2013年の調査時点で、約9,200人がこの病気を患っています。原因は不明で、病気の進行を
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