携帯からスマホへ。会話からコミュニケーションへ。ライフスタイルのパラダイムシフトを促した身近な道具の進化 かつて「ケータイ」の愛称で慣れ親しんでいた携帯電話を、私たちがいつのまにか「スマホ」や「ガラケー」と呼んでいるように、道具の進化は、それを取り巻く生活・文化の変化と強く結びついている。 例えば、インターネット閲覧や動画再生機能を持った次世代携帯が普及しはじめた2000年代前半に、「話せりゃええやん、電話やし」をキャッチコピーにしたCMがあったが、それは、「遠隔地の誰かと話す道具=電話」という限られた概念の枠内で携帯電話を理解しようとする意志のあらわれでもあった。もちろんスマートフォン全盛の現在であっても、遠隔間の会話は機能の中心にある。けれども、手軽にSNSやウェブサイトから情報が得られ、友人や恋人に今の自分の気持ちを絵文字やスタンプで伝えられる機能を持った道具の登場は、単なる「会話」