牧師として病人を見舞い共に祈ってきた──、そう自負していた著者。突如訪れた精神科閉鎖病棟での2カ月間、内に潜んでいた偏見や欺瞞を脱ぎ捨て、真の自分を探り当てていく心の旅。『牧師、閉鎖病棟に入る。』を書いた、日本基督教団の牧師、沼田和也氏に聞きた。 ■自傷行為を「間違い」と理解できない少年 ──教会の幼稚園で理事長兼園長をされていたんですね。 当時、認定こども園移行への膨大な準備作業に追われていました。ベテランの副園長に実質任せながらも緊張の日々。牧師としての仕事はほとんどできなかった。集会の準備で聖書を手に職員室へ入ると、それは家でとクギを刺される。園長らしく経営に積極的な姿勢を見せてくれ、と。 俺は牧師や、幼稚園の仕事だけするために赴任したんじゃない、と怒りが込み上げた。徐々に気力を失い、職員の輪に入れなくなり、顔を上げて話すことができなくなった。よそ者が孤立していました。そしてある日爆