アサクラ君はなんでもないようすで、卒業してからのことを語ってくれた。ある朝、会社のシャッターが閉まっていて張り紙一枚で倒産したと知らされたことや、東京に出てきて職を転々とし――ここの話しはそれ創作入ってないって何度もきいてしまうくらい変な会社ばかりだった。会社のお金を持ち逃げする社員や愛人を秘書にする社長とか実際いるとは思わなかったよ――今は友達が経営する輸入レコード店にいるのだという。 そのお店と店主のミズキさんの名前はラジオで知っていた。ラジオ番組とタイアップした六本木のクラブDJと仲良しで、日曜夜の番組にたまに出てる。甘いテノールが心地よくてけっこうマメにチェックを入れていた。そのセレクトはいつもすごくお洒落で女の子受けすること間違いなしのラブチューンがいっぱいで、ニーヨの曲を初めて聴いたのもあそこだったと思う。 「あれでけっこう、売り上げあがるんですよ。ミズキ、女の子に人気あるし曲