中世から近世にわたるキリスト教美術で多く描かれた主題をとりあげ、造形美術を読み取るための基礎知識と読解の楽しみを伝える。著者によるキリスト教図像学研究の集大成的一冊。キリスト教美術のかたちで実現された、永遠なる世界のヴィジョンを垣間見る。 第一章 「ことば」と、「かたち」と――とりあえず、前段として 第二章 キリストの母マリアをどのように位置づけたらよいのか?――聖母か? 神母か? 生神女か? 第三章 水面の「かたち」をどのように表現したらよいのか?――伝統継承と刷新実現の二者択一のなかにあって 第四章 聖史伝の「ことば」をどのように探索したらよいのか?――「正典」でなければ、「外典」(アポクリフ)か? 「受難伝文学」か? 第五章 終末世界の「かたち」をどのように解読したらよいのか?――東方ギリシャ教会型か? 西方ラテン教会型か? あるいは両者の融合型か? 第六章 マリアの無原罪性をどのよ