からだ起こして。 そう言いながら彼が俺の上半身を抱き起こした。後ろ手に縛られているので自分で思っている以上にもたもたした。 顔あげて。 態勢を変えられたうえでそう言われたら口淫をねだられたものと思うものだ。むっとする熱気に、彼のものが目の前にあるのがわかった。迎え入れようとしたとたん先端が俺の頬の高いところを突いた。それから耳から顎のあたりを熱い塊が撫でた。濡れていた。俺は頭をふった。彼はすぐ、ごめんねと言ってバスタオルで頬をぬぐった。口に入れても大丈夫なものだけどあなた嫌いだったね、と。先走りや精液なら構わないが、ゼリー状の何かわからない液体は好かなかった。言わずとも通じたらしく、ずいぶんと丁寧に自分のものを拭いている。そこまで神経質に清めなくともいいと伝えるべきか悩んだ俺の顎を彼の手がつかむ。ばさりとタオルが落ちる音がしていよいよかと思ったところで指を含まされた。 このくらい大きくあけ
![外伝「木染月」5 - 夢のように、おりてくるもの(磯崎愛) - カクヨム](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4fb50b44d62f0ae2735bb1f35ac399c0a93c347e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-static.kakuyomu.jp%2Fworks%2F1177354054882548592%2Fogimage.png%3FZ7s5-Zt6dM-s3z6q25H-5U6CkYo)