都市が勃興し、最初の完了国家が形成されつつあった12世紀のラテン的ヨーロッパは、古典古代を再発見した。若々しく、活力に満ちた時代精神に、古代の知的遺産が新しい意味、新しい響きをもった。〈12世紀は他に例を見ないほど創造的な、造形的な時代〉(ホイジンガ)であった。中世史家ハスキンズは、綿密な写本研究と文献学の成果にもとづいて、修道院から大学まで、この中世のルネサンスに営まれた精神生活の諸相を描く。 ラテン語の古典・詩・散文が、遊歴書生の新しい押韻の叙情詩、《カルミナ・ブラーナ》の聖・俗にわたる愛らしい詩に復活し、また変化に富む時代は、伝記、回想録、宮廷編年史、都市の年代記等の多様な歴史記述を産んだ。ローマ法がよみがえり、ギリシア語・ラテン語からの翻訳家の苦心の労作は、哲学と科学の復興をもたらした。学問的制度としては、12世紀は司教座聖堂付属学校の隆盛にはじまり、サレルノ、ボローニャ、パリ、モ