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ブックマーク / book-sp.kodansha.co.jp (2)

  • 筒井康隆『創作の極意と掟』

    小説は誰にでも書ける。文章が下手だからこそ迫力が出る場合もある。まるきり文章になっていないような作品であってさえ前衛的な文学になり得るし、終始そのような文章で書かれた傑作さえ存在する。ほんの少しの助言で、初めて小説を書いた人の作品が傑作になることも多い。実はこれは小生が何人かの作家希望者の文章に助言してきた体験から言えることなのだ。ならばその体験を文章にして、なかなか自分の思い通りの小説が書けない初心者や新人に助言し、時には中堅やベテランにもちょっとした示唆を与えてあげることはできないだろうか、という少し奢った考えがきっかけでこのエッセイ「創作の極意と掟」は生まれた。 1934年大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業。展示装飾を専門とする会社を経て、デザインスタジオを設立。60年にSF同人誌「NULL(ヌル)」を発刊し、江戸川乱歩に認められて創作活動に入る。81年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、8

  • 講談社BOOK倶楽部:大江健三郎『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』

    おそらく最後の小説を、私は円熟した老作家としてではなく、 フクシマと原発事故のカタストロフィーに追い詰められる 思いで書き続けた。しかし70歳で書いた若い人に希望を語る詩を 新しく引用してしめくくったとも、死んだ友人たちに伝えたい。 作家自身を思わせる主人公・長江古義人(ちょうこう・こぎと)は、 3・11後の動揺の中で、「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」と題した 文章を書き始める。未曽有の社会的危機と深まりゆく自らの老い── 切迫する時間の中で、古義人が語り始めるのは……。 「私は生き直すことができない。しかし/私らは生き直すことができる」 最後に引用されるこの謎めいた詩の意味は、読了後明らかになるだろう。 「私は生き直すことができない。しかし/私らは生き直すことができる。」最後に差し出されるこの強い肯定を、けっして忘れたくないと思う。 ──松永美穂さん(ドイツ文学者) 氏ほど切実に「

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