三橋順子、「女装と日本人」、講談社現代新書、2008年、\900+税、ISBN978-4-06-287960-6 既にあちこちで取り上げられていますので、今更の感が否めませんが、新書版で約370ページと大部な割にはサクサク一気に読める筆致で、これほどの文章の練達者にはお目にかかったことがありません。著者がご自身のブログで述べておられるように、インドのヒジュラをモデルとする双性原理という概念を打ち出し、日本の歴史を掘り起こす作業は発見と示唆に富むものです。歴史学で鍛えられた調査能力、資料の取捨選択眼、いずれもさすが新進気鋭の学者です。 どんな内容かについては、著者ご自身によるガイダンスがありますので、こちらをご参照ください。また、書評の中でも、平山氏のものが秀逸ですので併せてお勧めします。 日舞は曲目に応じて、女踊り、男踊りがあります。身体の動作表現で女踊り又は男踊りを行う場合、それぞれのジ
着物の形状には様々な変遷がありますが、着物を着る上での約束事で長らく守られてきたことがひとつあります。 それは右袵(うじん)。右前、右襟ともいいますが、着物を着て襟を合わせる時、最初に右襟、その上から左襟を打ち合わせ、ちょうど右手を懐にすることができる状態にします。袵(じん:おくみ)とは、現在では襟下から褄(つま:裾)にかけての部分を指しますが、元々の意味は襟のことです。 この右袵の決め事は、719年の養老令に「初令天下百姓右襟」、すなわち、すべての人々は右衽にせよと定めたことによります。右衽が実際に庶民にまで定着したのは平安時代になってからと言われていますが、千年以上前の法律が連綿と今に生きているともいえます。 さて、養老令そのものは現存していませんが、「続日本紀」に残されており、上記右衽の記述があります。 J-TEXTS 日本文学電子図書館 続日本紀 第8巻 http://www.j-
三杯のお茶の逸話、秀吉が石田三成をとりたてる契機となったお話があります。史実かどうかはともかくとして、秀吉の所望に応えて1杯目はぬるめの湯でたっぷりのお茶を点てて出し、2杯目を所望されると、少し熱い湯で茶碗半量ほどで出し、それに気づいた秀吉が更に3杯目を所望すると、今度は小さい茶碗に熱い湯で点てて出したというもの。喉の渇きを癒すため徐々に茶量と温度を変えて点てて出したことが、相手の状況を見てとることに優れていると評価されたのでしょうか。おもてなしの真髄とも言えます。 お茶事においても、お客様のお好みをよく承知した上で催すこととされています。食品アレルギーや食べられない物があれば、それを避けて懐石の献立を組むのは当然として、薄茶席でもお茶のお好み、味の濃淡や湯量の加減など、お客様のお好みを常から掌握しておくことが大切なこととされています。 したがって、常から心得ておくため、お客様としてお招き
お茶の研究をしている人が時々試飲会を開いて下さるので、先日それに参加してきました。今回は、九州で栽培している緑茶数種、製茶工場のブレンド茶、国産紅茶などでした。 これまでの試飲会でお茶の品種ごとの味をあれこれ知ることができたのは幸いです。まだまだ多くの品種があるようですので、今後も楽しみにしております。 国内で栽培されている茶樹木の品種は60種以上にのぼりますが、栽培面積でみると、やぶきた76%、ゆたかみどり5%、さやまかおり2%、おくみどり2%、かなやみどり1%、その他14%。 ここで名の上がっている品種は煎茶用で、国内で栽培されている日本茶の用途は前茶が圧倒的に多いという結果が表れています。 お茶の品種を煎茶、玉露、碾茶、紅茶など用途別に分け、下記に記しました。消費者が手にするのは、製茶業者や茶輔などが各種茶葉をブレンドしたものが大多数ですが、最近では、単品の品種のお茶も買えるようにな
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