はじめに 一 悪縁を順縁へ 1 悪縁としての母 2 仏教の道へ 3 隠遁生活 二 ミラレーパの仏教思想 1 苦しみを糧とする 2 無の現れ 3 衆生利益の意味 三 現代を生きるミラレーパ 1 ミラレーパの仮面舞踏 2 様々なミラレーパの行事 3 消えゆくチベット文化 おわりに 注・参考文献 あとがき 民衆の尊崇を受ける聖者を、チベット人の眼差しから描く 各地を遊行し、瞑想修行に明け暮れ、大いなる悟りを得たミラレーパ。自身の体験したものの全てを宗教歌「グル」にして人々に歌い聞かせたが、その歌は魂の叫びそのものであり、聞く者の心を強く揺り動かすのである。11世紀に生きたチベットの聖者の人生と思想。 ********************************************* 空を飛んだだの、極寒のチベットにおいて裸で修行しただの、なんだか眉唾のような話ばかりであるが、ミラレーパと