注意深く周りを見渡すと、男性が別の男性を「ふつうの人」と「ふつうじゃない人」に振り分けようとするシーンがそこかしこに存在する。同じ男性なのに、他人を「自分と無関係な者」と位置づけてしまう時、私たちの中で何が起こっているのか? 男性問題や加害者臨床に取り組む著者が、日常的な他者との関わりからこの問題にせまる。マジョリティ性をもつすべての人におくる、今読むべき男性論。 「そういう男性っていますよね(笑)」。学生の課外活動をパネル展示するという大学主催のイベントに、発表者として参加した時のことだ。2016年のことだったと思う。当時大学院生だった私は、〈男らしさ〉にまつわる問題について男性同士で語り合うグループを開いていて、イベントではその活動について紹介した。〈男らしさ〉は男性に様々な影響をもたらし、深い悩みを抱える人が来ることもある…。そのように話すと、パネルを見に来たひとりの男子学生からこの
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