膠とは獣や魚類の皮、骨などを煮詰めた液を冷まし、ゼリー状になったものを乾燥させた糊材です。膠を使用する際は、水に漬けて温めることで適度な粘度と接着性を有する液体になります。日本絵画では顔料を画面に定着させるためのメディウムとして、また油絵・テンペラ画などでは下地の白を練り合わせるためのバインダーとして今日も用いられています。 離れがたい親密な交情を意味する慣用句として「膠漆(こうしつ)の交わり」という言葉があるように、膠という素材は美術史と切っても切り離せない親密な関係があります。 その歴史は非常に古く、20000年前のフランス・ドルドーニュに遡ります。我々の祖先であるクロマニヨン人は、動物の血液や油分、植物性の樹脂を用いて、洞窟に壁画を残しました。 これが現代における膠に相当すると言い切るのは逸言ですが、少なくとも世界最古の絵画が動物性のタンパク質を糊材として用いられたことは確かです。
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