震災遺跡として町全体が保存された北川地区中心部の曲山。多くの観光客が訪れている=中国四川省で2011年4月9日、鈴木玲子撮影 約9万人が死亡・行方不明となった08年の中国・四川大地震から5月で3年。最大被災地のひとつ、四川省北川地区の中心部は町が壊滅し、政府は同じ場所での再建をあきらめ、新たな場所での再建を進めている。一方、捨てられた町は被害建物がそのまま保存され、「震災遺跡」に生まれ変わった。東日本大震災でも被災者の生活復興が急がれる中、災害の記憶をどう後世に残すか。北川の取り組みと課題を探った。【北川地区で鈴木玲子】 強震と四方を囲む山からの土石流で町が壊滅し、住民約2万人が犠牲となった北川地区の中心地・曲山。4月上旬に再訪すると、えぐられた茶色の山肌や倒壊した建物群がそのまま残っていた。震災直後との違いは、横たわる無数の遺体、家族を捜す人々の姿、ほこりや煙、異臭がないこと。 がれきの