押井:この映画の建前としては「感動スポーツドラマ」なんです。アメフトの勝負を通じて正々堂々と戦うことで、権力者である所長をへこませた。看守も囚人のチームに負けたことは認めた。「お前ら強いじゃないか」と。囚人のチームはラフプレイで対抗したりもしたけれど、最後の最後はフェアプレーで勝って日頃の鬱憤も晴らした。まあ、番長マンガみたいだけれど「お互いによくやったじゃん」と。で、卑怯者の所長だけがひとりぼっちで、というそういう構図で終わる。 それこそちょっと前の「少年ジャンプ」のマンガみたいですね。 押井:じゃあ「少年ジャンプ」とアルドリッチ映画の違いって何なのか、という話をしましょうか。この映画を初めて見た当時の僕はまだ学生で、「この監督はとにかく面白い」と気付いてアルドリッチの映画を探して見歩いたんだけれど、アルドリッチは、こういう熱血根性系のスポーツ映画を結構作ってるんです。 遺作も女子プロレ