国会審議中の入管難民法改正案は、非正規滞在者の強制送還を徹底する内容だ。出入国在留管理庁は「国外退去処分を受けたのに、送還を拒む外国人が多く、入管施設への収容が長期化する原因にもなっている。中には、前科のある人もいる」と強調する。しかし、当事者は「帰らないのではなく、帰れない。日本にいさせてほしい」と訴える。生の声に耳を傾けた。(共同通信編集委員=原真) ▽「捕まって殺される」 ミャンマー出身で30代の男性スブハムさん(仮名)は2006年、来日して難民認定を申請した。 イスラム教の少数民族ロヒンギャ。仏教徒が多い母国で差別され、国籍を与えられていない人も多い。大学を卒業しても就職が難しく、「ここにいては何もできない」と日本へ。「サムライの映画を見て憧れていた。日本なら、助けてもらえると思った」。群馬県の自動車部品工場で働き、難民審査の結果を待っていた。 だが、母国で迫害の恐れがある難民とは