金子 熊夫 外交評論家 元外交官(初代外務省原子力課長) 民主党・野田政権の原子力政策は、すったもんだの末結局「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」という線で定まったようだが、どうも次期衆議院選挙にらみの彌縫(びほう)策の色彩が濃く、重要な点がいくつか曖昧なまま先送りされている。 とくに核燃料サイクル(一度原子炉で使用された核燃料を再処理しプルトニウムを抽出してプルサーマルや高速増殖炉でリサイクルすること)は当分現状維持となっているが、今後の状況次第で廃止となる可能性も排除されていない。(勿論総選挙の結果政権が代われば別の展開になるだろうが。) いずれにせよ、核燃料サイクルに関する問題は、ある程度専門的な知識がないと十分理解できないと思われるので、まず簡単に基本的なところを説明しておきたい。 「核廃棄物」か「リサイクル燃料」か そもそも、一度炉で燃やせば――CO2の排出問題は別として――大
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