筆者は、日本的な産業政策について、官僚が成長産業を選べるはずないということで否定している。もちろん成功事例ばかりなら結構だが、実際にやはり失敗ばかりだ。 これまで実施された産業政策で、税金がムダに終わったケースを挙げてみよう。筆者が大蔵省(現財務省)で財政投融資改革に携わっていたころに経験または見聞きした話だ。 まず、「基盤技術研究促進センター」。情報通信分野などの基礎的な研究を目的に1985年に設立された特殊法人だ。原資はNTTの政府保有株式の配当金などによる産業投資特別会計で、これらの資金が同センターを通じて出資・融資対象の研究開発機関や民間企業に流れていた。 ところが、その成果は悲惨なものだった。2800億円の出資は8億円くらいしか回収されず、結局、2003年4月に解散することとなった。この顛末(てんまつ)については、検索サイトで「基盤技術研究促進センター」と検索すれば、会計検