松尾匡『商人道ノスヽメ』を読む。 一応は、良作。 本書で解説される「商人道」は、山岸俊男の説を"参照"する形で書かれている。 山岸の説に関しては、ここと、ここの疑問点を紹介しておきたい。 個人的には素朴な疑問として、①その人の出身階層とか出身の地方とかで、結果は違うんじゃないの?、とか、②日米以外の比較はちゃんとしたの?、してないとだめなんじゃないの?、とかが思い浮かぶ。 著者の松尾先生の論調は、基本的に「商人道」の称揚に(自覚的に)偏していて、参照されるジェイン・ジェイコブズ『市場の倫理 統治の倫理』に比べると、正直バランスに欠けるんじゃないかなーという印象はある。 本書では、戦後の憲法をめぐる政治の歴史も解説されている(小熊英二『<民主>と<愛国>』が主に参照されている)。 正直な話、それに対する著者の解説は、「商人道」の原理を押し出しし過ぎているような気味があるので、ここでは書かない