さて、この「サビでの転調」という語から連想されるのはやはり小室哲哉だろう。ここで再びimdkm『リズムから考えるJ-POP史』から引用しよう。「かつて小室哲哉は、矢継ぎ早な展開や唐突な転調に特徴づけられる自身の作風について、その原動力となる「恐怖」の源泉を次のように語ったことがある。「それは、日本人の声質の問題があるんです。外国人のように特徴的な声ならシンプルな曲でももつけど、日本人で、声だけで飽きさせないような個性を持つ人は少ないし。」」。この発言の本質的な言及部分は示唆に富む。何故ならVOCALOIDに対しても全く同じ考察が可能だからだ。柴那典も『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』で「ボーカロイドの歌声は、人間の声に近づける「調教」のテクニックはあれど、基本的にはフラットな声色になっている。音程のズレも少ないし、そもそも歌唱力という観点もない。声の情報量をスルーすることが前提になってい
![ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/815e688ebc8d0fadc08c31f4a3e24927bf33e5dd/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Frealsound.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2020%2F08%2F20200808-hachi1.jpg)