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ブックマーク / realsound.jp (6)

  • 『MIU404』は“0地点”にいる私たちの物語だった “世界のズレ”が大きくなる前に立ち止まる意義

    『MIU404』(TBS系)がついに最終回を迎えた。「密」も「ディスタンス」もない2019年10月時点では中止になるなんて思いもしなかった東京オリンピックは現在開催されず、2020年夏、我々はコロナ禍にいる。緊急事態宣言で撮影もできなくなり、テレビドラマ界自体が未曽有の事態に晒され、野木亜紀子はじめ『アンナチュラル』(TBS系)スタッフによる、綾野剛・星野源のW主演ドラマというだけで期待の呼び声高かった『MIU404』も例外ではなかった。長い放送休止期間を経て、ようやく始まったドラマが辿りついたその先には、紛れもなく副題同様「0地点」にいる我々の今があった。 「もしもあの時に戻れるなら」(第2話)、「できることなら罪を犯す前に戻りたい」(第2話)、「あれから何度も頭の中で繰り返す。あの時声かけていたら」(第6話)、「俺はどこで止められた? どうすればよかった?」(第8話)。 時間の不可逆性

    『MIU404』は“0地点”にいる私たちの物語だった “世界のズレ”が大きくなる前に立ち止まる意義
  • ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ

    さて、この「サビでの転調」という語から連想されるのはやはり小室哲哉だろう。ここで再びimdkm『リズムから考えるJ-POP史』から引用しよう。「かつて小室哲哉は、矢継ぎ早な展開や唐突な転調に特徴づけられる自身の作風について、その原動力となる「恐怖」の源泉を次のように語ったことがある。「それは、日人の声質の問題があるんです。外国人のように特徴的な声ならシンプルな曲でももつけど、日人で、声だけで飽きさせないような個性を持つ人は少ないし。」」。この発言の質的な言及部分は示唆に富む。何故ならVOCALOIDに対しても全く同じ考察が可能だからだ。柴那典も『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』で「ボーカロイドの歌声は、人間の声に近づける「調教」のテクニックはあれど、基的にはフラットな声色になっている。音程のズレも少ないし、そもそも歌唱力という観点もない。声の情報量をスルーすることが前提になってい

    ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ
  • ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ

    (ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(1)初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ から続き) 2009年8月12日、supercellはボーカリスト・nagi(やなぎなぎ)を迎えた『君の知らない物語』をリリースする。これは後に続くボカロPのアーティストデビューの草分けとなると同時に、次世代のボカロPとの世代交代を象徴する出来事でもある。また、若年層にボカロ曲が広く聴かれ始めたのがこの時期だという指摘も多い。2009年のJOYSOUND年間ランキング9位にはsupercell「メルト」がランクイン、翌年に至っては10曲中5曲がボカロ曲となっていることもそれを裏付けるだろう。ここではそんな時期にボカロシーンを席巻したwowakaとハチについて見ていこう。 wowakaは2009年5月11日投稿の「グレーゾーンにて。」でボカロPとしての活動を始めるが、この

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  • 『天気の子』から“人間性のゆくえ”を考える ポストヒューマン的世界観が意味するもの

    ポストヒューマンから読み解く『天気の子』の可能性 新海誠の監督第7作となる最新作『天気の子』が7月19日に、いよいよ公開されました。興行収入250億3000万円という日映画歴代2位の大記録を打ち立て、ハリウッドでのリメイクも決定し、さまざまな意味で日アニメの転換点になったとも評価された前作『君の名は。』(2016)から3年ぶりの待望の新作です。公開後の観客動員も好調なばかりか、批評的にも、すでに『君の名は。』以上の賛否両論を巻き起こしているようです。 『天気の子』は、伊豆諸島の離島から家出してきた高校生の少年・森嶋帆高(声は醍醐虎汰朗)と、天気を局地的に操る不思議な能力を持った「100%の晴れ女」天野陽菜(声は森七菜)が、異常な降雨が続くオリンピック後の東京の街で出会うボーイ・ミーツ・ガールの物語です。周りに身寄りもなく、貧しい彼らが陽菜の特殊能力を活かして晴れ間を呼び寄せるビジネスを

    『天気の子』から“人間性のゆくえ”を考える ポストヒューマン的世界観が意味するもの
  • リズムから考えるJ-POP史 第5回:中田ヤスタカによる、“生活”に寄り添う現代版「家具の音楽」

    いまやPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅをはじめとしたアーティストのプロデュースを手がけ、DJとしてもさまざまなイベントに引っ張りだこのプロデューサー、中田ヤスタカ。エッジーなダンスサウンドをためらうことなくマーケットに投入し、なおかつ成果を上げ、2010年代のJ-POPを牽引した重要人物の一人だ。彼の活動においては、ボーカルを務めるこしじまとしことのユニット・capsule(2013年秋より大文字のCAPSULEに表記を変更しているが、稿で扱う作品の年代の都合上、小文字での表記に統一しておく)が中心的な位置を占めている。 capsule『S.F. sound furniture』 初期、具体的にいえば2ndアルバムの『CUTIE CINEMA REPLAY』から6作目の『L.D.K. Lounge Designers Killer』でエレクトロハウス色を強めるまでのcapsuleの楽

    リズムから考えるJ-POP史 第5回:中田ヤスタカによる、“生活”に寄り添う現代版「家具の音楽」
  • Creepy Nutsが問う、ジャンルの定義「“いわゆる”を作ることって本当にヒップホップなの?」

    2017年8月に『高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー。』で華々しくメジャーデビューを飾る……はずが諸般の事情により延期、11月に再リリースとなるなど、なんだがフワフワした形でのメジャー進出となったCreepy Nuts(以下クリーピー)。 しかし、彼らのこれまでを総括し、これからを明示する、メジャー1stアルバム『クリープ・ショー』の充実した構成は、そのモヤモヤを晴らすに余りある快作。彼らの音楽的イズムや原点といった根から、自分たちを取り巻く状況と音楽シーンといった現状認識、そしてこれからのクリーピーへの期待を呼び込むであろうこの先への希望など、幅広いテーマで彩られた作は、彼らにしてはケレン味なくストレートに「クリーピーとはなんぞや」を打ち出した、1stアルバムらしい1stアルバムとして完成した。彼らの未来に期待せよ!(高木“JET”晋一郎) 「自分の主義を全

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