・偽書「東日流外三郡誌」事件 読み応えあり。 東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)は、青森県五所川原市の和田喜八郎氏が自宅の屋根裏からでてきたといって1950年ごろから発表をはじめた古文書群。そこには古代の津軽に大和政権に匹敵するような王朝が栄えていたという歴史が記録されていた。考古学的に矛盾も多く、当初から偽書の疑いもあったが、村が『市浦村史 資料編』として70年代に公式刊行物として出版してしまったことで、お墨付きをえた形となった。さらに中央の学会では無視されていたが、歴史学の古田武彦教授ら有力な擁護派が幾人も登場して本物として紹介して知名度は全国区となった。地元住民も出自の怪しい和田氏に対して、半信半疑でありながら、村興しのネタとして積極的に活用していった。 地元紙「東奥日報」の記者だった著者は、この資料をめぐる小さな訴訟事件の記事を書いたことをきっかけにして、これが偽書ではないかと