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ブックマーク / www.ringolab.com (72)

  • 世にも奇妙な人体実験の歴史 - 情報考学 Passion For The Future

    ・世にも奇妙な人体実験の歴史 「何世紀ものあいだ、薬の安全性の検証は事実上、一般大衆の体によっておこなわれていた。用量を超えて飲めばほとんどの薬が危険だが、安全な服用量は誰にも分からなかった。とりあえず飲んでみて、様子を見るしかなかった。患者は薬を飲み、医者は患者が死ぬかそれともよくなるかを見るのだった。」 古代から19世紀にいたるまで多くの人々が病気の原因は悪い血であると信じていたので、腕を切開して瀉血したり、ヒルに血液を吸わせたりして、だらだらと何リットルも患者から血を奪っていた。医学的には患者を弱らせるのみの行為だった。 当に効く薬や治療法を見つけるには、誰かが最初に試してみなければならない。動物実験というのも現代では盛んだが、結局のところ、最後は人間が試さない限り、当に効くのかどうかわかりはしない。 ここに書かれているのは医学の当の歴史である。一部の勇気のある医者が自らの身体

  • とっさのひと言で心に刺さるコメント術 - 情報考学 Passion For The Future

    ・とっさのひと言で心に刺さるコメント術 おちまさと氏によるコメント術。とっさのコメントがうまいと評価があがる。まずいことをいわないというのもポイントだし、これは年齢が上がるにつれて求められる力でもあるよなあ、どんな内容なんだろと思ったら、なんと、まず「コメントは事前に用意するな」である。 「○○さんになりきる」などコンセプトを決めておけばいかにもその人がいいそうなセリフが出てくるはずだとか、頭の中の検索エンジンにコンセプトを入力すると自動的にいい言葉がズラリと出てくる「自分グーグル」をつくっておけという指南が続く。 確かに必ずしも準備しておけばいいコメントができるわけではないし、十分な準備をすると時間がかかる。みんなにコメントを求められる立場の人は忙しいわけで、このアドバイスは確かにすごく正しい。そして即興で的確なコメントを返すためのトレーニング方法がいくつも挙げられている。 フェイスブッ

  • ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観 - 情報考学 Passion For The Future

    ・ピダハン―― 「言語能」を超える文化と世界観 キリスト教伝道師兼言語学者としてアマゾン奥地の少数民族ピダハン族の研究に30年を捧げた研究者が書いた衝撃のノンフィクション。著者はピダハン族と暮らすうちに、彼らの文化に魅了され、西洋文明の価値観を疑いはじめる。そして遂には無神論者となって信仰を捨て去ってしまうに至る。私たちとはまったく異なる世界認知のスタイルがあるということを教えられる。 ピダハン族の言語には数を表す言葉がない。色の名前もない。神の概念もない。我々がよく知る現代の西洋とも東洋とも違う認知世界の住人たちだ。ピダハンの生活は直接経験の原則で貫かれている。経験していないことは考えない。遠い昔のことや未来の話は語らない。空想の話もない。だから彼らの文化に口承伝承や神話、そして儀式がない。ピダハンも夜に夢を見るが、それも寝ている間の幻としてではなく現実の経験として扱う。 ピダハンの血

  • 神隠しと日本人 - 情報考学 Passion For The Future

    ・神隠しと日人 異界研究の第一人者が、神隠しにまつわる神話や伝承、そして現実の神隠し事例を研究することで、日の村社会における「神隠し」の役割と機能に迫る。意外に人間的で現実的なオチになる。 「民俗社会における「神隠し」とは何なのだろうか。極端な言い方をすれば、それは現実の世界での因果関係を無視して、失踪事件を「神隠し」のせいにしてしまうことなのである。村びとたちは自殺も、事故死も、誘拐も口減らしのための殺人も、身売りも、家出も、道に迷って山中をさまよったことや、ほんの数時間迷い子になったことまでも、「隠し神」のせいにしてしまおうとしていたのである。」 神隠しの多くが、事実を隠蔽するためのヴェールとして使われ、その真意は「失踪者はもう戻ってこないと諦めよ」ということを遠回しに伝えることにあった。辛い現実を突きつけられるよりも「神隠しにあったのだ」で失踪を異界へ放り投げたほうが、慰めになる

  • 隠語の民俗学---差別とアイデンティティ - 情報考学 Passion For The Future

    ・隠語の民俗学---差別とアイデンティティ このの定義によれば「隠語とは、社会集団が集団内部の秘密を保持するなどの目的で使用する、その集団の内部だけにしか通じない言葉である。」。マタギやサンカの民俗研究から、隠語の成り立ち、使用実態、そして、そこに込められた被差別者の心意をあきらかにしていく。隠れキリシタンや警察など、隠さねばならない事情があるところに隠語の文化は発達する。 著者は隠語には 1 所属集団の秘密を保持する機能 2 所属集団の仲間意識連帯意識を強化する機能 3 所属する集団と他の集団とを区別する機能 4 他の集団に対して所属集団を誇示する機能 の4つの機能があると総括している。 権力や公安から隠すとは限らない。マタギの場合には山の神様に隠すために隠語を使うそうである。そういえばネットにも隠語はある。たとえば危ないクスリの取引を掲示板を介して行う場合に、検索にひっかからないよう

  • 魚は痛みを感じるか? - 情報考学 Passion For The Future

    ・魚は痛みを感じるか? 魚は痛みを感じるか 世にも奇妙な、科学者による魚の福祉のだ。 昔、活き造りを前にして、魚は痛みを感じないんだよ、と教えられた記憶がある。それ以来、単純に魚は痛みを感じないものと信じてきた。犬や、あるいは牛や豚が、目の前で切り刻まれて、痛くてのたうちまわっている様子をみたら耐えられない気持ちになるだろう。でも、魚の活き造りは少し気味が悪いし、後ろめたさも感じるが、哺乳類ほどではない。 生物学者の著者は研究資金を得て魚が痛みを感じるかというユニークな研究した。痛みを感じるという現象は複雑だ。まず魚の神経組織に損傷を検知する侵害受容体があるかを調べ、脳にその信号が伝達された結果、魚の行動が変わるかを実験で明らかにしていく。痛みに苦しむためには何らかの意識が必要だ。そして意識に似た現象が魚の脳に発生しているかを観察で見極める。出た答えは、おそらくYes、魚は痛みを感じる

  • 喜びはどれほど深い?: 心の根源にあるもの - 情報考学 Passion For The Future

    ・喜びはどれほど深い?: 心の根源にあるもの 人間の奥深い欲望は適応の結果ではない? イェール大学心理学部教授ポール・ブルーム著。 、愛、芸術、スポーツ、想像、苦痛、科学、宗教。さまざまな喜びの根源には、超越的な存在を求める「質主義」があるという。質主義とは「事物には、直にとらえることのできない根源的な実体ないしは来の性質があり、当に重要なのはその隠れた性質だとする考え方」のこと。 著者らが行った実験では、有名人の着ていたセーターと殺人犯の着ていたセーターを被験者にみせる。もちろん有名人の着ていたセーターの方に高い価値を見出される。しかし、これを殺菌消毒してしまうと価値が下がってしまう。セーターから、なにか大事なものが失われてしまったと被験者は感じたのだ。 それはもちろん汚れや匂いという具体的な何かだけではあるまい。モノの背後に宿った何か、すなわち著者が言う「質」が人々を惹きつ

  • 地図になかった世界 - 情報考学 Passion For The Future

    ・地図になかった世界 これは大傑作。 南北戦争前のヴァージニア州マンチェスター郡で黒人奴隷のオーガスタスは一生懸命に働いて金を貯める。所有者の白人ロビンズから、自分と家族の自由を意味する解放証明書を買うために。そして家長の必死の思いが実って一家は自由の身になった。しかし、少年の頃、ロビンズに可愛がられて育ったオーガスタスの息子ヘンリーは、成長すると黒人奴隷を購入し、奴隷制を嫌う両親と激しく対立する。(黒人が黒人を奴隷として所有することができたという史実にもとづく)。 独立した青年ヘンリーは奴隷を増やし、農園経営で経済的な成功を手にするが、ある日、カルドニアと大勢の奴隷を残して突然に他界してしまう。残されたも彼らを解放することはせず、古くからいる黒人奴隷のモーゼズと逢瀬を楽しむようになる。 人間が人間を所有することが公に認められている世界。白人が黒人を奴隷として所有するだけでなく黒人が黒

  • アーティストのためのハンドブック  制作につきまとう不安との付き合い方 - 情報考学 Passion For The Future

    ・アーティストのためのハンドブック  制作につきまとう不安との付き合い方 アーティスト = 美術作品、音楽、文学、写真など作品を制作する人 アーティストとして生きていく不安にどう対処したらいいか? 才能とは何か、自分に才能があるのかどう見極めたらいいか? 優れた作品とは何か?成功とは何か?アイディアと技術とどちらが大切か? といった問題に対して2人のベテラン・アーティストが答える。全米で20年間読み継がれた古典の翻訳。アーティスト指向の人が読むと、自分の抱えた論点がいっぱい言語化されているのをみるだろう。 このでは一度も創造性という言葉が使われない。著者らはその言葉をファ○クという言葉と同じように忌み嫌っている。アートを職業として生きていくには、当てにならない天才の創造性よりも、継続的に作品を作り続けていく継続性、生産性を大切にしている。まずは質より量なのだ、と。 こんな実験もでてきた。

  • ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム - 情報考学 Passion For The Future

    ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム あまりに内容が濃くて熟読していてレビューが遅くなってしまった。 このは現代の知識創造のバイブルといっていいと思う。「共創」とか「創発」という言葉は概念レベルでよくつかわれるが、それを具体的にどうやって実現するかを書いたをはじめて読んだ。なるほど、こうやるのかという方法(ゲーム)が80種類も紹介されている。いくつか試してみたが、私の周囲では大好評で成果を挙げている。 「ゲームストーミングはゲームのアルゴリズムと視覚的効果および効用を利用してグループワークを促進させる手法・技術・行為の総称です。ブレインストーミング、ファシリテーション手法、アイスブレイキングといったテクニックと同様、ゲームストーミングも会議、セミナー、ワークショップなど協働において優れた効果を発揮します。」 このはビジネスの会議で使えるゲーム

  • 利他学 - 情報考学 Passion For The Future

    ・利他学 これは面白かったなあ。利己的に活用もできそうな利他学の。 人はなぜ赤の他人を助けるのかの科学。 自分が損をして相手を助ける。赤の他人ではなく血を分けた近親者を助ける利他行動は、わかりやすい。自分が犠牲になっても、相手と共有した遺伝子が次の世代へ残っていくから、そうするという理由で、説明がつく。それに同じ場所に暮らすものどうしなら、今日は助けても、明日は助けてもらうことになるかもしれない。お互いさまの直接互恵性は利他行動の基だ。 しかし、人間は見返りを期待できない赤の他人も助ける。電車では老人に席を譲るし、道で困っている人を見捨てない。見返りが期待できない大きな集団の中で、間接互恵性を発揮する大きな理由として「評判」があるという。「あの人は親切だ」いう評判があれば、集団内で利他的にふるまってもらえる可能性が高くなる。 利他性を引き出す方法が社会心理学の実験からわかってきている。

  • 脳科学は「愛と性の正体」をここまで解いた---人を愛するとき、脳内では何が起きているのか? - 情報考学 Passion For The Future

    ・脳科学は「愛と性の正体」をここまで解いた---人を愛するとき、脳内では何が起きているのか? 男性は美人にみつめられると脳内の報酬系システムが活性化することが実験で証明されている。はりきって、気前良くなる。逆に交渉に弱くなったり、行動に変化が出ることもあるそうだ。美人というのは社会的資源のひとつと考えて、戦略的に活用すべきものなのかもしれない。社会的合意がとりにくそうな話であるが...。 このは、人間の愛と性が「オキシトシン」などの脳内物質を分泌させて、その思考や行動にどのような影響を与えているかを、一般向けにわかりやすく説明したである。社会的動物として進化してきた人間は、もともと生物学的に個体同士が絆を深める機構が折り込まれている。ロマンティックに愛が深まる背景には脳内物質の作用があるのだ。 人間は特に視覚によって愛や性のシステムが活発に動き出すというのが面白い。視覚優位のメディアの

  • 意識は実在しない 心・知覚・自由 - 情報考学 Passion For The Future

    ・意識は実在しない 心・知覚・自由 新しい概念としての「拡張した心」を中心に意識の問題を考察する。 「第一に、人間の心のはたらきと呼ばれているもののほとんどは、環境と円環的再帰的にインタラクションすることで成立していることである。人間の身体内部のはたらきは、そのループの一部をなしているにすぎない。そして、その円環的な相互作用のなかには、より小さな円環的相互作用が入れ子状に含まれている。」 そして著者は人間的環境を5つの構成要素に分類する 1 改変環境 都市や農村、人間の手が入った森林 2 構築物 家屋や建造物 3 道具 何かの目的を達成するための道具 4 他者 共同したり競争する他者 5 社会制度 言語や法、株式会社や保険、民主政治など集団行動のしくみ こうした環境と連続的に相互作用をするアクターズネットワークが人間の世界なのだという。そして社会的アフォーダンスに反応する能力を持つ、自律的

  • 最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件 - 情報考学 Passion For The Future

    ・最初の刑事: ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件 探偵ミステリが好きな人は絶対必読の傑作ノンフィクション。 1860年6月の朝、英国の田舎の村の屋敷ロード・ヒル・ハウスで、その家の三歳の男の子が無惨な姿で殺されているのが発見される。犯行のあった夜に屋敷にいた家族と使用人たち全員が容疑者となる。 屋敷の主人、後、前の子供たち、後の子供たち、子供の面倒を見ていた子守りの女性たち。子守りの女性が最初の容疑者として疑われたが、自白はとれない。科学捜査が未発達の時代の事件であり、密室で行われた犯行の捜査は暗礁に乗り上げてしまう。 典型的な英国のカントリーハウスで起きた残酷な殺人事件を、当時の新聞は大きく取り上げた。世間はにわか探偵ブームとなって、一般人や作家たちが真犯人は誰かを推理する投稿が盛んになる。 世間の注目が集まる中で、当時、刑事課が創設されて刑事になった8人のうちの

  • アライバル - 情報考学 Passion For The Future

    ・アライバル ショーン・タンという作家が書いた文字のない長編物語の絵『アライバル』。同氏はこので世界各国29の賞を受賞、ショート・アニメーション『The Lost Thing』が、第83回アカデミー賞短編アニメーション賞受賞。 これは20分ほどで読めてしまう大型絵ですが、読み返すのが3回目です。移民を決意した一家の父親が、単身で船に乗って、異国に入っていく。異文化と格闘しながら、自らの場所を築いていく。モチーフは第二次世界大戦の頃のアメリカ移民ですが、実は結婚にせよ就職にせよ、新しい文化に入っていく、そこで新たな価値観を受容して生きていくっていうことは、社会を生きる人間にとって普遍的な体験だと思うのですね。その普遍を幻想的な寓話として、当にうまく描いているな、天才だなと感じて何度も読み返す、魅力的なです。 まったく文字を使わない表現でメッセージを表現する。移り変わる雲のかたちを何

  • 知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 - 情報考学 Passion For The Future

    ・知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 語彙、記憶力、計算、論理思考、反応時間テスト、空間テスト、迷路など、多数の被験者に多様な知的作業をやらせると成績は全体として正規分布を描く。そして何十、何百の項目において正の相関関係がみられる。あることがとても上手にできる人は、べつのことも上手であることが多いのだ。たとえば国語(他の科目でも良いが)ができる子は、算数も英語も社会もできる子である可能性が高い。俗に言う地頭の良さ、要領の良さである。 実験心理学の創始者チャールズ・スピアマンは、無数の能力の相関を調べ上げ、人間の知能には二種類の要素があることを発見した。取り組むどんなことにもその人が用いる一般因子gと、音楽のように他の要素と相関を持たないsである。地頭の良さ、要領の良さは、高いgの賜なのだ。一方、音楽家はいくら作曲や演奏の才能sがあっても、数学や国語ができるとは限ら

  • 即興の解体/懐胎 演奏と演劇のアポリア - 情報考学 Passion For The Future

    ・即興の解体/懐胎 演奏と演劇のアポリア 即興芸術の質とはなにか?。音楽のインプロビゼーション演奏と前衛演劇の表現を題材にしながら批評家 佐々木敦が「驚くべきことは、いかにして起こるのか?」を考え抜く。 優れた即興演奏は聴く者の期待を裏切ると同時に満足させる。音楽の約束事やありがちなパターンから自由でありつつも、音楽であることを止めてはいけない。演奏者と演奏者、そして演奏者と聴取者の想像力のせめぎあいの中から、即興は生まれてくる。それは「支離滅裂」や「破綻」や「台無し」とは違う定型なき形成だ。 「「即興」には常に「予測を予測する」というメタ的な審級がある。それはいわば「先読み」のひたすらな連鎖である。「演奏者」は「聴取者」の現前の認知によって、そのような「メタ予想」の交錯に巻き込まれざるを得なくなるし、逆に「聴取者」の方もまた、刻々と脳裏に浮かぶ自らの「予測」を「演奏者」がどこかで「予測

  • 国語教科書の中の「日本」 - 情報考学 Passion For The Future

    ・国語教科書の中の「日」 いやあ、おもしろいなあ、痛快だな。子ども時代からのもやもやがすっきりしていく。昔からそうだったよ、国語の教科書は。 著者は、小中学校の教科書を精査し、国語教育が「古き良き日」ばかりを教える偏った道徳教育になっている実態を批判する。私の頃もそうだったがトップシェアの光村図書の教科書を中心に、そこは保守イデオロギーの塊なのだ。 「光村図書の『こくご 上』を読んでいたときのことだ。小学校に入学してはじめて手にする国語の教科書である。だから、「あいうえお」を学ぶことになる。それに例示されているものが気になったのだ。「あ」は「あめ・あり・あひる」、「い」は「いす・いるか・いのしし」、「う」は「うし・うみ・うちわ」、「え」は「えき・えほん・えんとつ」。いまの子供が「うちわ」や「えんとつ」にどれだけのリアリティーを感じるだろうか。しかし、もっとおかしいのは「おけ・おに・おの

  • ヤノマミ - 情報考学 Passion For The Future

    ・ヤノマミ これは傑作。 アマゾン奥地で暮らすヤノマミ族と150日間におよぶ同居生活をしたジャーナリストの体験ルポ。 ヤノマミとは人間という意味。彼らは1万年間独自の文化と風習を守って生きてきた。現代人から鉄器を入手したのは最近のことだから、ずっと石器時代に近い狩猟採集中心の暮らしを続けてきた。現在彼らの森は先住民保護区に指定されており、文明との接触が稀になっている。ほとんど世界最後の「未開」の部族だ。 著者が訪れたヤマノミ族は、シャボノと呼ばれる直径60メートルの巨大なドーナツ状の家に167人が集団生活を営む。中央の空洞の広場は共有スペース。屋根がある円周部分で生活をする。家族ごとの囲炉裏とハンモックはあるが間仕切りがない。彼らはべる時も眠るときもそして性行為をするときも丸見えになる。 仲介者を通して取材の了解を得ていたにも関わらず、取材班が歓迎されたのは最初の1週間のみ。「あいつらは

  • 勲章 知られざる素顔 - 情報考学 Passion For The Future

    ・勲章 知られざる素顔 凄く面白い5つ星の新書。 十字軍の戦士が身につけた十字架の記章を起源とし、日では「薩摩琉球国勲章」を嚆矢とする勲章とその制度は、実はそれを運用する法律がない。明治の勅令や太政官布告によって運営されている。諸事情と経緯を背負った不思議な制度である。 日では春と秋の叙勲で約4000人ずつ、高齢者叙勲、死亡叙勲、外国人叙勲、気兼業務従事者叙勲、緊急叙勲を含めると受勲者は年間2万人を超える。対象は「国家又は公共に対し功労のある者」。最高位の大勲位菊花賞頸飾の下に、総理大臣ら政治家や公選職、民間人系の旭日大綬章、公務員系の瑞宝章の2系列があり、それぞれに重光章、中綬章、小綬章、双光章、単光章と続く。国家・公共にとっての功労とは何か。2003年の改革で勲一等のような数字による等級区別は廃止されたが、その度合いが等級によって序列化されるしくみにかわりはない。だから受賞者をみれ