「情の時代」のもとで 10月14日でフィナーレを迎える愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。脅迫などを受け、8月1日の開幕からわずか3日間で「表現の不自由展・その後」が一時中止され、閉幕1週間前にして、ようやく再開されたものの、「情の時代」というコンセプトを掲げたように、皮肉にも分断や対立が際立つこととなった。 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会によると、「ソーシャルメディア型のソフト・テロ」という位置付けがされたが、その抗議の内容は、展示を鑑賞していない人にも関わらず特定の作品のイメージが先行して、「芸術の名を借りた政治(あるいは反日)プロパガンダ」や「公金、公的施設の使い方としておかしい」といった反応が多かったという。そしてSNS上では、誹謗中傷の言葉を並べる人自身が、「表現の自由である」と展示名を逆手にとる論法が見られる。 確かに、考えや政治思想によっては、心証が悪