ブックマーク / reki.hatenablog.com (89)

  • 『宗教の起源』書評 - 宗教はすごく「気持ちいい」 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    なぜ宗教ははじまり、なぜ人間に必要とされたのか 『宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』ロビン・ダンバー著(白揚社)を読みました。 タイトル通り、なぜ宗教は発生し、なぜ人間は宗教を必要とし、宗教の質とは何なのかを明らかにしていくです。 かなり面白かったので、今回ブログでも紹介したいと思います。 1. 人類学や心理学、脳科学から宗教を分析する 書の筆者はロビン・ダンバー氏はイギリスの進化心理学者、人類学者で、もともと霊長類行動の研究者だった方です。 猿やチンパンジーの研究をする延長線上で、同じ霊長類ということで人間の進化の研究に携わるようになりました。 その中で筆者は宗教がどう人間社会や人間自身の発達に関わってきたのか、そしてなぜ人間には宗教が必要だったのか、という点に関心を持ちました。 書はこれまでの彼の数々の研究や著作をもとにまとめられたです。 そのため宗教へのア

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  • 『琉球王国は誰がつくったのか』沖縄は海賊の島だった? - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    琉球王国形成の典型イメージを変える一冊 『琉球王国は誰がつくったのか 倭寇と交易の時代』(七月社 吉成直樹 著)を読みました。 文字通り沖縄の琉球王国の成立に関する著作です。 従来は、琉球王国は沖縄土の農業社会の発展によって力をつけた支配者が、山北、中山、山南の三王国を形成し、最終的に中山の尚氏が統一を果たすと考えられてきました。 しかし書によると、琉球王国は倭寇の大きな影響力のもとで成立した国であり、王族の尚氏も日からの移住者、具体的には肥後の佐敷、現在の熊県芦北町からの移住者ではないかという説が述べられています。 さらに、王国の成立には中国政治環境が大きく関わっていたことも詳しく述べられており、琉球王国や沖縄の歴史を知る上で新たな発見があるではないかと思います。 1. 琉球列島は倭寇の影響下にあった 琉球王国の王族は熊からの移住者説 14世紀初頭から沖縄島には山北、中山

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  • 政変で死んだ世界史の「幼児王・少年王」 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    政権末期や政変時に担ぎ出される幼児王・少年王 世界史ではよく幼児や子どもで王に担ぎ出されるケースがあります。 政治対立が起こり一触即発の場合に、幼い王を擁立させて角が立たないようにするという場合があり、これはこれで衝突を避ける政治的なテクニックではあります。中には成長して名君となるケースもありますが、悲劇的な末路を遂げる例も少なくありません。 日史だと壇ノ浦の戦いで海に身を投げて死んだ安徳天皇が有名ですが、政治的混乱に巻き込まれ死んだ幼児王・少年王をピックアップします。 1. ジャン1世(フランス)1316年 即位後5日で他界した幼児王 フランス王ルイ10世が他界した後、子は娘しかおらず、妃のクレマンス・ド・オングリーが懐妊中でした。そのため出産までルイ10世の弟フィリップが摂政となり、1316年11月15日 に生まれた男の子が、ジャン1世として国王に即位しました。 しかしジャン1世は生

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  • 「ホロコーストの生き残り」を主張した詐欺師 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    自らホロコーストの生き残りと称して売り込みをした人々 第二次世界大戦の重大な戦争犯罪としてホロコーストが挙げられます。 対象となったユダヤ人が非常に身近にいるためか、欧米では現代でも非常に関心が高いテーマであり、書籍、小説映画などになってその凄惨な経験が語り継がれ続けています。 ところがあまりに関心が高いためか、「自分は強制収容所の生き残りだ」と主張する詐欺師もたびたび現れます。 1. ローレル・ローズ・ウィルソン ユダヤ人でアウシュビッツからの生き残りと主張した詐欺師 ローレル・ローズ・ウィルソンは虚言癖と詐欺行為で名のしれた人物です。 彼女が最も名前が知られた著作は『サタンの地下室(Satan's Underground)』というで、悪魔崇拝の教団で生贄にするための赤ん坊を生む役割を担わされたという「実話」を語ると称するもの。 調査により、彼女の名と家族構成、話の大部分が嘘である

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  • 【論争】サーン・アバスの巨人は古代遺跡かニセモノか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    Photo by PeteHarlow イングランドの地上絵は古代遺跡か17世紀に作られたものか サーン・アバスの巨人(Cerne Abbas Giant)は、イングランド・ドーセットのサーン・アバス村の丘にある地上絵。あまり観光資源のないドーセット地方の中で有名な観光スポットになっています。 描かれているのは棍棒を持った裸の男性で、立派な部分を堂々と露出させた、まあなんというか、とってもワイルド。全長55メートル、幅51メートルにもなる大きさで、掘られた溝には白いチョークで輪郭が描かれています。 この地上絵の由来はよくわかっておらず、初めて記録に現れるのが17世紀なのでその頃に作られたという説もある一方で、古代ローマやケルトの時代に作られたという説もあります。情報があまりにもなくて、その由来の論争にはまだ決着がついていません。 1. サーン・アバスの巨人とは この地上絵は、管理するナショ

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  • 他国の領土にある「民族の精神的故郷」 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    外国にある「我々の土地」 特にユーラシア大陸の、時期によって主要民族が大きく移り変わった場所では、過去の主要居住地と現在の主要居住地が大きく異なっていることは珍しくありません。 日だと、例えば天孫降臨神話がある高天原、古都の奈良や京都といった地は、そこに例え馴染みがなくても、自分たちのルーツがある土地として、精神的な故郷と感じることができます。 幸運なことに日人の精神的故郷は国内にありますが、そうでない国もいくつもあります。仮に京都や奈良が中国大陸や朝鮮半島にあると考えたら、その感情を少しは理解できるかもしれません。 過去の民族の神話や歴史が整理し近代国家を形成する過程で、場合によってはそれを取り戻そうとする動きも高まり、戦争にまで発展したケースもあります。 1. フィンランド人の故地カレリア フィンランド人の心の故郷 カレリアは現在はロシアのレニングラード州とカレリア共和国、フィンラ

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  • ドクターペッパーの歴史 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    一部にコアなファンがいる炭酸飲料 ドクターペッパーを飲んだことがある方はどれくらいいるでしょうか。 私はありますが、たぶんこれまでの人生で3~4回くらいしか飲んだことがないと思います。それでもその独特の味を思い出すことができます。 チェリー味の甘いシロップに炭酸が入っているような味。やや薬っぽいような香りもします。これがダメな人はダメなようですが、熱狂的に好きな人もいて、コーラよりドクペ、というコアなファンもいます。 どれくらい需要があるか分かりませんが、ドクターペッパーの歴史を紹介します。 1. ドクターペッパーの誕生 ドクターペッパーが誕生したのは1885年。 テキサス州の田舎町ウェーコで、チャールズ・アルダートンという薬剤師が、ウェイド・モリソンが経営する「オールドコーナー・ドラッグストア」に勤めていました。 この店はドラッグストアでありつつ、薬以外にも品や文房具をはじめ様々なもの

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  • 食あたりで死んだとされる世界史の人物10人 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    国のトップの人たちもあたりで死んでいた? 徳川家康の死因が「鯛の天ぷら」であるという逸話は有名です。 実際に死の直前に揚げた鯛をべたのは事実ですが、鯛にあたって死んだということではなく、もともと胃がんを患っていたと考えられています。 今回の記事は「中毒で死んだ人物」ですが、全員があたりで死んだ人というわけではないと思います。中には家康のような間接的なケースもあれば、中毒に見せかけて毒を盛られて殺されたケースもあるかもしれません。 その点をお含みいただきご覧ください。 1.イングラド王ヘンリー1世 ヤツメウナギのべ過ぎで死亡? ヘンリー1世はノルマン・コンクエストを成し遂げたウィリアム1世の末子。 彼は憲章「マグナ・カルタ」を発表し、気まぐれな税金や教会収入の没収などの悪行をなくすことを宣言しました。また、アングロサクソン系王家の血を引くスコットランドの王女マチルダと結婚し、スコ

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  • 社会主義者になった王族・貴族 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    共産主義・社会主義の理想に共鳴した高貴な人々 共産主義・社会主義の思想では、王族や貴族は人民を搾取する悪であり、階級闘争によって打倒されるべき敵であると考えます。 当然、王族や貴族は自分たちの社会的地位やこれまで培ってきた体制を守ろうとして、共産主義・社会主義とは敵対し、時には多量の流血が流れることもありました。 ところが王族・貴族の中には共産主義・社会主義に共鳴して、自分自身の階級を弾圧する者もいました。 なぜそうなったかは、当時の社会の背景や雰囲気を見ないと分かりませんが、どういった人物だったのかをみていきましょう。 1. イラジ・エスカンダリ(1907年〜1985年) イラン共産主義トゥーデ党の重要人物 イラジ・エスカンダリはイランの共産主義組織トゥーデ党の重要人物で、パフレヴィー朝の時代を通じて党第一書記として活動を続けた人物です。 父はカジャール朝の王子の1人であるヤヒヤ・ミルザ

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  • チキンナゲットの歴史-健康食からジャンクフードへ- - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    アメリカが誇るファストフードの申し子 マクドナルドKFCといったファストフードチェーンに行ったら、チキンナゲットはだいたいべると思います。 外はカリっとして、中はふわっとした感。味は、チキンと名乗っているので確かにチキンなのですがあまりチキンっぽい味ではなく、「チキンナゲット」としか形容できない味です。強いて言うと油とケチャップと衣の味です。 冷凍保存が利き、仕事中や歩きながらもべることができ、価格も安い。 いかにもアメリカらしい、ファストフード文化の申し子のような存在です。 しかしもともと、チキンナゲットは健康品として開発され普及してきました。その後、品偽装問題など社会問題化したことで、体に悪い品の代表格のようなイメージがついてしまっています。 1. 消費者に敬遠されるチキン アメリカ人にとって、チキンはさほど人気のある材ではありませんでした。 アメリカの伝統的な肉と言え

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  • 理不尽な理由で始まった戦争・完全版 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    よく分からない理由で吹っかけられる戦争がある 戦争を始めるには、指導者にどんな下心があるにせよ、一応皆を納得させられる大義名分が必要です。 ただ歴史を眺めてみると、どう考えても理不尽極まりない理由で始まった戦争も少なくありません。戦争は合理的に始まり合理的に終わると考えるのは、合理主義者が陥りがちな罠ですが、どう考えても理性的じゃない理由で戦争をふっかけられる場合もあるものです。 1. 野良犬戦争(1925年) 兵士が野良犬を追いかけ回し開戦 第二次バルカン戦争と第一次世界大戦で敵同士だったギリシャとブルガリアは、国境線を巡っていさかいが続いていました。互いに罵り合い、煽り合い、不信感が高まり、どんな些細なきっかけでもエスカレーションが起こる危険性が高まっていました。 この戦争は両軍が睨み合うペトリッチと呼ばれる国境地帯で起こりました。 1925年10月22日、あるギリシャ兵が野良犬を追い

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  • シマウマに乗りたい人々の歴史 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    シマウマを家畜化したいという人々のチャレンジ 歴史上、数多くの人がシマウマを家畜化しとようと試みてきました。 記録には全く残ってませんが、アフリカ牧畜民はおそらくシマウマを飼い慣らそうと相当な努力をしてきたと思われます。しかし現在シマウマを飼い慣らせてないということは、その試みが失敗に終わったということです。野生のシマウマが人に懐かないのは、アフリカ牧畜民があまりにしつこかったため、人を恐れる習性がシマウマに組み込まれてしまったのではという説すらあります。 19世紀以降、アフリカを植民地としたヨーロッパの人々は、大量にいる野生のシマウマをなんとか家畜化して活用しようとして、いくつかの成功事例が出ますが、おおよそ失敗に終わっています。 1. なぜシマウマを家畜化しようとしたのか シマウマは見た目はウマに似ているし、シマ「ウマ」と言うのでウマと似ているような誤解を与えるのですが、実はロバの近縁

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  • ロシア革命後に成立した短命の社会主義国 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    ロシア革命後に雨後の筍のように成立した社会主義政権 二月革命によりロマノフ王朝が崩壊し、内乱を経てボリシェヴィキによる政権が成立するまで、ロシア国内とその周辺国では、数多くの政権が成立しました。ボリシェヴィキ系、メンシェヴィキ系、民主主義勢力、少数民族系、傀儡政権などさまざまな勢力がありました。社会主義政権というだけでもさまざまありまして、今回は革命後に成立したいくつかの特徴ある社会主義政権を見ていきたいと思います。 1.水兵・建設労働者ソビエト共和国(1917年~1918年) Work by FugeeCamp 3か月間存在したエストニアのロシア水兵の政権 水兵・建設労働者ソビエト共和国は1917年12月から1918年2月までの短い間に、現在のエストニア・ナルゲン島にあったソビエト共和国です。 ドイツとソ連との間に結ばれたブレスト=リトフスク条約によって、ロシアはバルト諸国を含む多くの地

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  • 墓が見つかっていない世界史の超有名人物10人 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    未だに捜索が続く世界史の英雄の墓 歴史に名だたる英雄の墓は後世の人に敬われ大切にされれる、ということであればいいのですが、全然そんなことありません。 盗賊に盗掘されたり、政敵や敵民族によって暴かれ遺骸や遺骨を燃やされて捨てられたりすることもありました。そういうわけで死後の安寧のために、自分の墓を隠す権力者は多くいました。 その他にも、どういうわけか墓の場所が紛失して見つからないケースなど、歴史上の偉人だけど墓がまだ見つかっていない人物をピックアップしてみます。 1. アッティラ 「神の災い」と恐れられた男の墓 アッティラはご存じの通りフン族の大王。ゲルマン民族を圧迫しつつ、ローマ帝国に侵入を繰り返し、ハンガリー平原を拠にして現在のロシアからドイツにまで至る大帝国を築いた傑物です。そんな傑物は453年に有名な拍子抜けするような死を迎えました。 このエピソードはゴート人の歴史学者であるヨルダ

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  • 沈没船が高く売れる!核兵器登場以前の鋼鉄が再利用される理由とは - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    核兵器の登場によって決定的に変わった鉄鋼産業 1945年7月16日、アメリカ・ニューメキシコ州で初めて原子爆弾の実験が行われました。 核兵器の登場が政治・軍事面に与えた影響は桁外れに大きなものがありますが、もう一つ、科学面でも地球に「2度と取り返しがつかない」影響を与えました。それまで自然界に存在しなかった数十種類の放射性同位元素が大気中に放出され、それが自然界のみならず工業の分野においても影響を及ぼしたのです。 1. 電離放射線を出す金属 1945年7月16日午前5時29分、ニューメキシコ州の砂漠地帯でトリニティと呼ばれる世界初の原子爆弾が爆発しました。 この時、プルトニウム239、ストロンチウム90、セシウム137、テクネチウム99など、それまで自然界に存在しなかった数十種類の放射性同位元素が大気中に放出されました。 その後、アメリカに続いてソ連、イギリス、フランス、中国が核実験を行い

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  • 東ドイツの男性スパイ「ハニートラップ作戦」の実話 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    西側の「寂しい女性」に恋をさせ機密情報を暴露させる 通常ハニートラップと言えば、女性スパイが男性に仕掛けるものです。 セクシーな女性スパイの色仕掛けに理性を失い、機密情報を盗まれたり、破廉恥な行為をビデオで盗撮され、失脚したりクビになったりしてしまう。 しかし、冷戦時代に「もっとも成功したスパイ」はその逆で、男性が女性に対して仕掛けたハニートラップでした。 仕掛けたのは東ドイツの秘密警察シュタージ傘下の対外諜報機関「HVA」。東ドイツのイケメンを用いたその作戦は通称「ロミオ・トラップ」と呼ばれています。 1.  マルクス・ヴォルフの「ロミオ・トラップ」 シュタージはドイツ民主共和国(東ドイツ)の秘密警察で、国内外の諜報活動を統括する組織でした。主に西ドイツをはじめとした西側諸国へスパイを送ったり、秘密警察を通じて国民思想の監視を行ったりなど、東ドイツの情報セキュリティを一手に握りました。

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  • ウォッカのロシア史 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    ロシアの国と人を支えてきたウォッカの今昔 ロシア人といえば、大酒飲みで特にウォッカが大好きというステレオタイプなイメージがあります。 90年代のテレビニュースに映った赤ら顔のエリツィン大統領や、ハリウッド映画で描かれる飲んだくれロシア人のイメージが強いかもしれません。 ただ、これが間違っているイメージかというと、半分くらいは合ってるのが悲しいところです。いかに健康を害しようとも、ロシア人はウォッカをこよなく愛してきました。ロシア歴史はウォッカと共にあったと言っても過言ではありません。 1. 「生命の水」ウォッカ 「ウォッカ」がロシアに伝わったのは14世紀後半と考えられていますが、それ以前からロシア人は酒好きであったようです。 キエフ・ルーシの歴史が描かれた12世紀前半の『原初年代記』には、キエフ大公ウラジミールがイスラム教徒に「ルーシは飲むことが生きがい」と言ったエピソードが掲載されてい

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  • とんでもなくクレイジーな世界の政党 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    世界のぶっ飛んだ政党を見てみよう 選挙が近づくと、皆自分の選挙区の候補者は誰で、各党の政策はどうかを調べてみる気が起きます。自分の知り合いに自分のひいきの政党を薦めて回る人が出るのもこの頃です。最近ではウェブコンテンツで、質問に答えていったら自分と合っている政党が推薦されるものも人気です。 ところで選挙のたびにワンイシューの政党や主張がラディカルな政党がネットで話題になります。たいてい泡沫で終わってしまうのですが、話題になっただけで成功と言えるのかもしれません。 日だけでなく、世界でも数多くのクレイジーな政党があります。 過去記事 ふざけてるとしか思えない世界の10の政党 1. ボストン茶会党(アメリカ) リバタリアン党の分派的政党 ボストン茶会党という名前から、2010年ごろにアメリカで勢いを増した草の根保守運動・ティーパーティーの政党か勘違いしてしまいそうですが、まったく別の組織です

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  • ハーメルンの笛吹き男-1284年6月26日子どもたちはどこに消えたのか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    有名なグリム童話の背景にあった社会や信仰とは ハーメルンの町にやってきた男が、不思議な笛の力でネズミを捕ってしまうも、町の人に報酬の支払いを拒否され激怒し、笛の力で町の子どもたちを連れ去ってしまう。 グリム童話の有名な「ハーメルンの笛吹き(Rattenfänger von Hameln)」です。 この話は複数の伝説や逸話がミックスされたものだと考えられていますが、全部がフィクションというわけではなさそうで、当時の記録に残っているし、何らか当時の社会を背景にしたものであることは確かです。ハーメルンの笛吹き男伝説は当時の社会史を知る興味深い事例となっています。 1. ハーメルンの笛吹き男伝説 ハーメルンの笛吹き男伝説は様々なバリエーションが存在しますが、一般的に知られているグリム童話の初期の大筋は以下の通りです。 1284年、ハーメルン市に多色のまだら模様の服を着た不思議な男が現れた。 彼は市

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  • ビリヤニの歴史 - ヒンドゥーとイスラム文化の交流と衝突 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    人気急上昇中のインド料理の奥深い歴史 これまでインド料理と言えばほとんどの人は「カレー」しか知らなかったと思います。 しかし近年、ネパールや南インド、スリランカ、バングラディシュなどの格的な南アジア料理を出すレストランが増え、カレーだけでも星の数ほど種類があるし、その他にも様々な料理のバリエーションがあることが知られるようになりました。 数ある南アジア料理の中でも最近注目されている料理がビリヤニです。 ビリヤニはインド人のみならず南アジアの人々の大好物で、お祭りや結婚式などのお祝い事には欠かせない料理。日ではSNSを中心にビリヤニ人気が高まり、都内でもビリヤニを提供する店が激増しました。 楽しく美味しいビリヤニの歴史と、その歴史的文脈が抱えるインドの価値観の戦いについてまとめていきます。 1. ビリヤニとはなにか Photo by  Garrett Ziegler インドの国民料理ビリ

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