エチオピアの少数民族「ムルシ族」には、女性たちが下唇に穴を開け、そこに「リッププレート」と呼ばれるお皿を入れる風習がある。テレビ東京制作局企画委員の田淵俊彦さんは「この風習の起源は、ムルシの人々が歩んだ悲しい歴史と関係がある」という――。 ※本稿は、田淵俊彦『弱者の勝利学』(方丈社)の一部を再編集したものです。 奴隷としての商品価値を下げるためのリッププレート エチオピア南部のオモ川流域には数多くの少数民族が散在していますが、そのうちの一つ、牛牧畜民であるムルシの人々の間には、伝統的な風習が今も色濃く残っています。 目につくのは、女性たちの「身体変工」です。ムルシの女性は通過儀礼の一種として、下唇に穴を開け、そこに素焼きや木製のリッププレートを入れています。
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