青、黒、水色――。3色の曲線が、グラフの上をからみ合いながら上下している。青は固定資産投資、黒は鋼材生産量、水色はセメント生産量のそれぞれ増減率を表す。そして、3つの曲線は2008年第4四半期から明らかな乖離を見せ始めた。 投資銀行のエコノミストたちは常々、中国政府が発表する公式統計に疑いの目を向け、中国経済の現状をより正確に把握する方法を模索してきた。英スタンダード・チャータード銀行の中国研究部長を務めるステファン・グリーンは、次のように話す。 「中国の統計数値の一部には疑問がある。それより、自分たちは“セメント”を信頼している。セメントは決して嘘をつかない」 グリーンによれば、セメント生産量は中国の固定資産投資の増減を測るうえで最も頼りになる指標である。「セメントと鋼材はあらゆる建設投資に大量に使われる。特にセメントは使用期限が短く、(鋼材のように)長期の在庫がきかない*からだ」と、彼