去年のクリスマスにデビュー作『横浜駅SF』が発売されたので、これで小説稼業1周年という事になる。単行本は3冊、小説雑誌の寄稿がいくつか。 小説家というのは5年続けば一人前らしいので、とりあえず0.2人前と言っていいだろう。重量でいうと足先から太もものあたりまでだ。「下半身だけは一人前の小説家」という言い方もできる。 1年続けて思ったことをメモ程度に書く。 ■小説家は当たれば儲かる。 当たり前じゃねーかと思うかもしれないが、大学の研究職は当たっても儲からない。企業研究者ですら当たっても儲からないので中村修二が裁判をした事は有名。その点、小説家は当たったぶんだけダイレクトに儲かるので話が早い。 1年間の小説稼業で得た金額は研究職の年収よりもだいぶ多い。だいぶは2倍から10倍の間を指すと思ってほしい。つまり唐突に大学を追い出されても数年は何とかなる。今にも任期が切れそうな研究員としてはたいへんあ
最近、「プラントハンター」を肩書とする方の行動が物議をかもしているようなので、思い出したこと。 あるとき、話の流れで西畠清順氏の活動を外国人に英語で説明することになり、「彼の職業は plant hunter だそうです」と述べたところ、 「プラントハンター?」 と聞き返されました。 「西畠氏の家業は花や植物の卸問屋ですが、彼自身は世界各地で珍しい植物を見つけてきて売買したり、イベントを行ったりしているようです。16世紀にオランダにチューリップをもたらしたり、18世紀にロンドンのキューガーデンにある植物をもたらしたりしたプラントハンターにちなんでいるみたいです」 と説明しますと、 「それを日本ではポジティブな仕事として受け止めているのか?」 と驚かれました。そこで私から、 「プラントハンターという職業が帝国主義による植民地支配の産物であることは、私自身は多少理解しています。そしてそれが欧米で
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