自動車業界では史上初となる世界販売1千万台が目前のトヨタ自動車。しかし、豊田章男社長は「もっといいクルマづくり」を合言葉に、経営のかじを量的拡大から質的拡大へと切った。トヨタが求める「真の競争力」を追う。“中興の祖”が立ち上げたレクサス 社長に就いてからも靴底にはよく金属の削りかすが付いていたという。時間があれば、作業服に着替えて工場を見て回っていたからだ。 そんな製造現場にこだわり続け、ものづくりを追求し続けた一人の経営者が9月17日、亡くなった。 豊田英二、100歳。トヨタ自動車の社長、会長をつとめ、世界有数の企業に成長させた立役者だ。部品在庫を抑え生産効率を向上させる「カンバン方式」の確立など、その功績は枚挙にいとまがない。 技術畑を一貫して歩んできたため、ものづくりの人という印象が強いが、製造面だけでなく、今や自動車業界の頂点にのぼりつめたトヨタの土台をいくつも作り上げてきた。その