群馬県藤岡市の関越自動車道で乗客七人が死亡、三十八人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故を、同じ仕組みのバスに乗務する運転手らは切実な思いで受け止めた。「旅行会社主導で、しわ寄せはすべて現場に来る」。ツアーバスの乗降場で聞くと、あえぐように苦境を訴える声が聞こえてきた。 「規制緩和でバス会社が急増し、価格競争が激しくなった。どこも長距離運転は二人から一人になった」 東京・新宿駅近くで一日夜、ツアーバスから降りてきた男性添乗員(53)は、そばで見る運転手の過酷な労働環境を説明した。 「運転手から八日、九日連続乗務なんて当たり前のように聞く。ただ、今日の運転手が、群馬の事故後に会社から『勤務体制を見直す』という連絡があったと話していた。ようやく業界内で見直されるかも」と続けた。 添乗員によると、運転手が運転中、うとうとする姿を何度も目にしてきた。そういう場合は声を掛けているが「時間通りに目的地に