今年のアカデミー賞作品賞の最有力候補作「スラムドッグ$ミリオネア」を試写で見た。世界最大のクイズショーで残り1問までたどり着いたスラムの少年をめぐる話だ。本コラムの読者に私の感動を伝えるべく思いをめぐらしてみたが、これがなかなか難しいことに気がついた。 私 「すごく良かった!」 妻 「すごく良かったって、何がどうすごく良かったの?」 私 「うーん。まあ、いろいろ。とにかく、見ればわかるさ」 せっかくの感動をうまく伝えられぬもどかしさにもんもんとする私に妻は冷たくこう言い放ったのだった。 「へえ。あ、ご飯あったかいうちに食べてね」 感動を分かち合うのは、夫婦であれ、恋人同士であれ、職場の仲間であれ、とても大事なことである。感動を伝える。それを受けた相手がその感動に共鳴できれば、互いの親近感はぐっと深まる。感動を伝えるにも技術がいる。 事実を事実として伝える技術、例えば報告やプレゼンのスキ