新人時代の研修で忘れられない思い出がある。 当時の私の教育担当は後法川アナウンサー。あの、みのもんた氏であった。深夜放送の名物DJとして既に名を成していたから、その名人芸を伝授してもらえると期待していた。 まず教わったのは放送局への入り方 研修初日。朝9時に玄関前に来るように、とだけ言われていた。10分前に到着して待っていると、すぐに先輩が現れた。 「まずは、局の入り方から教えよう」 「ハイ?」 いくら新人とはいえ馬鹿じゃないんだから(ま、馬鹿でしたが)局に入るぐらいはできますよ、と口には出せず、一瞬むっとする私。 「いいか、俺のやり方をよく見ておけ」 「あ、はい…」 そう言うと、みの先輩は正面玄関ではなく脇の通用口から入る。その奥には運転手さんたちが待機している車両室がある。事件があればいつでも中継車やハイヤーを出せるようにしておく24時間体制の職場だ。夜勤明けで皆さんお疲れ。テンシ