現金そのものがなくなる!? また、現金不足が経済に与えた影響も深刻だ。今年4~6月期のGDPは前年同期比5・7%増で、順調に見えるかもしれないが、ここのところインドは7%程度の成長があってしかるべきだと言われていたので、減速感が否めない。インドの実験を見ると、経済を回すためには十分な現金が必要なことがわかる。 もともと、インドは現金取引の多い国である。主要国における現金の流通の割合は、対GDP比で3~8%程度であるのに対して、インドは12%程度だ。ちなみに日本は約20%とダントツに高く、安倍政権による異次元緩和が行われる以前からずっと「現金社会」だった。インドの失敗例があるとはいっても、日本は世界と比較して現金に頼る比重が高すぎるので、改善の余地はあるといえる。 実際、いま現金レス社会への移行は大きな潮流になっている。ユーロの例のほかにも、カナダやシンガポールでも段階的に高額紙幣の流通を減
