かねてから、やさしいおばあちゃんの顔を見た時だけ、ほっと安心するという感覚があることが報告され、「祖母ニューロン」という神経細胞の存在が1960年代の研究で示唆されていた。だが「神経細胞がたった1つの概念や顔にのみ反応するわけがない」と、当時この仮説に否定的な声が多かった。 そして半世紀たった今、少なくともサルの脳には「祖母ニューロン」らしきものが存在するらしいことがついに明らかになったのだ。 『Science』(7月1日付)に掲載された研究によると、アカゲザルの脳にはよく知っている仲間の顔にだけ発火する領域があるのだという。 良く見知った顔を見たサルの脳では何が起きているか? 米ロックフェラー大学の神経科学者ヴィンリッヒ・フライヴァルト(Winrich Freiwald)教授らが調べたのは、アカゲザルの脳の一般的な顔を認識している領域と、「側頭極」と呼ばれる領域だ。側頭極はまだ不明なこと