ふたつのレトリック 古代ギリシア・ローマの弁論術では、言論の機能は「説明する」「楽しませる」「感動させる」の3つに分けられるという(佐藤1994)。佐藤は、この3分法は2分法の変形であり、「説明すること」と「楽しみを与えること」の2方向から「感動させること」を目指すのだと指摘している。佐藤の表現によれば、この2つは「解明し論述する技術としての《説得》のレトリック」と「快感を呼びおこすための《表現》のレトリック」ということになる。 日本でレトリックというと、これまでは後者の意味で解されることが多かったようである。尼ヶ崎(1988)でも、日本語のレトリックとして後者に分類されるような現象を多く取り上げている。こうした状況に対して木下(1981)は、佐藤の前者のレトリック、すなわち「言語によって情報や意見を明快に、効果的に、表現・伝達する方法」(11)を身につけることが必要であると説く。こうした
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